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バイクで世界一周した和田守正、裕美夫妻(南国市)が、その軌跡を振り返ります。出会い、別れ、世界の実情を写真とともに紹介。

 

雨は神からの贈り物

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 モニュメントバレーに向かう直前に、一度40号線からはずれ、アスファルトで舗装はしているが、荒野の中のごつごつの道を数十キロ南下。

特に行く予定はなかったのですが、砂漠の中に開いた大穴を見物に行きました。昔、頭の片隅に残った記憶が時々蘇ってくることは、誰にでもあると思いますが、私にとってのこの場所は数十年前に見た、何かの本の記事に載っていた写真で、覚えている記憶の一部でした。

 その土地の名前は「メテオ・クレーター」。約5万年前に数十万トンの大隕石が時速6万キロ以上の高速で地球に激突、直径1.3キロメートル、深さ200メートルの大穴が開き、まるで月世界のような景色を残しています。ここはアポロ宇宙船の乗組員が月面着陸の訓練をしたことでも知られています。

地球の歴史から言うと最も新しい隕石のクレーターと言われています。

ほとんど車の通らないがたごと道にハンドルをとられながら、南に向かうとはるか彼方に小高い丘が見えてきます。到着し、ふもとにある駐車場にオートバイを置いて急な坂を登りきると、目の下に巨大な穴が広がっています。

穴の底、中心まではずっと遠く、昔隕石そのものを発見しようと調査した人々がいたとのことで、そのあたりに発掘に使ったやぐらなどの古びた設備が残っていました。

頂上から隕石口の外側をぐるりと眺めると、周囲に人家や町も森林も、何もなく、ただこの隕石口が穴を開け、砂漠にぽつんと残っているだけの光景は、写真で見た月の世界そのものでした。

地面に激突した衝撃のエネルギーでこの大穴があき、私たちの立っているあたりの外周ははほとんど山のように盛り上がっていて、自然の驚異を実感しました。

 観光客はあまり多くなく、ぽつぽつといったところ。グランドキャニオンほどの知名度はないのでしょうが、私たちには、おもしろいところでした。

 十分に大自然の力を目にした後、ふもとに下り、もと来た道をまた、北にたどって田舎道の99号線に入り、精霊伝承やさまざまなメッセージの「アメリカ・インディアンの言葉」で知られている先住民族ホピ族の居留地に入ります。

 日本からみると面積は広大ですが、どこまで行っても渇いた大地です。そんなに神秘性は感じませんが、ときどき、空き家となったうらびれた人家がぽつんとあり、まるで一昔の西部劇の場面に出てきそうな木造の小さな教会が、何にもない道端に倒れそうになりながら建っていました。

 このあたりはさびしい様子がいっそう強い印象で、ほとんど車も通らないせいか、道路標識やときどき見かける道端の錆びた看板に銃弾のあとがやたらあり、穴だらけでした。
退屈なドライブの途中、気分転換に積んでいる散弾銃かライフル銃をぶっぱなすのでしょうか。日本では絶対に見かけない風景でした。

 平坦な大地に、谷が現れ、そのずっと向うにテーブル状の台形の山がいくつも見えてきます。

 この周辺に点在する「メサ(台地の意味)」です。そちらに向かうには結構深い谷底に、アメリカにしたら悪路と言うような砂交じりの狭い坂道を転がるように下って行き、谷底に着くと、また急な道を登って行きます。

 台地の上にはホピ族の人々の小さな集落があり、砂埃が舞っています。集落の中にこじんまりした日本のコンビニくらいのスーパーマーケットがあり、入ってみると閑散とした店内は商品も少なくぱらぱらとあるだけで、この居留地の厳しい生活を思わせます。

コーラやパンを買い、店の外に出ると、隣のメサの上は黒雲に覆われ、雨が降っている模様です。

オートバイの旅で一番困るのが雨や風です。店の前に止めたオートバイにシートカバーをし、軒先で近づいてくる雨雲を見上げていると暇なのか店内から主人のホピ族の男性が出てきました。旅の話しなどをして、「オートバイの旅では、雨が一番の悩みだ」と言うと、空を見上げ「われわれにとって、雨ほど大切なものはない。雨はわれわれの生命で、天の神々からの大切な贈り物だ。」と答えました。

 ほとんど雨の降らない砂漠に生きる人々の切実な思いです。毎年台風などで水害のでる日本人には想像できない厳しい自然の現実を実感しました。

【写真】最も古い隕石のクレーター

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このページは、uniqueが2008年3月 7日 13:00に書いたブログ記事です。

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