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ブラジル在住のカメラマン、楮佐古晶章さん(高知市出身)が、ブラジルの毎日を活写。

 

のどかな一日

 友人がサンパウロ近郊のシャカラに行って魚を食べよう、と誘ってくれた。シャカラとは日本語でいうと、田舎の小さなレジャー施設? 田舎の小さな別荘?のような意味があるらしい。

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 ブラジルでは、休みや誕生日などの行事があると、友人が集まってシュラスコ、いわゆるバーベーキューをする習慣がある。外で食べるせいか、焼きながら、肉ををそぎ落として食べる肉のうまさは格別で、一緒に缶ビールやピンガ(地酒)を飲んで皆でわいわいと楽しむのが一般的である。

 誘ってくれたAさんは、サンパウロ市の隣の町に住む、ちょっと日本人離れした朴訥なひとである。友達もブラジル人が多く、日本人はあんまり好きでないよ、といった感じの人である。

 途中、朝の5時までずっと飲んでいたという彼の友人、ロベルトをピックアップし、シャカラに向かう。ロベルトは2回の離婚経験を持ち、左官の仕事をしているとのことであった。

 ブラジルでは、2,3回の離婚は結構普通で僕の周りにもたくさんいる。年齢も僕と同じほどで、どこか影のある、気の良い彼を僕もすっかり好きになってしまった。

「毎日、夕方ビールを飲むために、仕事をしているような男なんです。お金を貸してもきちんと返してくれるし、いい奴ですよ」Aさんの10年来の飲み友達らしい。

 シャカラは決してきれいな場所とはいえないが、シュラスケイロや、ミニサッカー場のある緑に囲まれた快適な場所であった。ロベルトの従兄弟にあたる持ち主は、動物や植物が好きで、さまざまな鳥が飼育され、果樹が植えられていた。

 敷地の一角に、ドラム缶を半分に切って足をつけたものに炭を入れ、持ってきたイワシとサバを焼きながら、ビールを飲む。天気はいいし、爽快である。

「肉は腹にもたれるから、魚にしたんですよ」といいながらビールを飲んでいるAさんも満足そうな顔をしている。さあ、食べようという段になってフォークも箸もないことに気がついた。

 ロベルトはそんなことは、意にも介せず、手づかみで食べ初めた。焼きたての魚が熱いのと、手がベタベタするのが難であるが、こんなワイルド食べ方もなかなかいい。

 息子が「手で食べるの?」と不思議そうに尋ねてきたので、「そうだ」というと楽しそうに食べ始めた。これぞ男だけのささやかな食事会!

 デザートに周囲に植えられた桑の実を食べる。最初は食べようともしなかった息子も手を真っ赤に染めながら嬉しそうに桑の実を食べている。

 満足一杯の、のどかな1日であった。

 【写真】魚が焼ける匂いをかぎつけて、ハエ、野良犬、人がやってきた。ロベルトは素手でどんどん焼いていく

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