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ブラジル在住のカメラマン、楮佐古晶章さん(高知市出身)が、ブラジルの毎日を活写。

 

2008年1月アーカイブ

buraiki.jpgバスを降り道を横切って、ふと地面を見ると、小さな葉っぱが列になってムニョムニョ動いている。よーく見ると蟻(アリ)が懸命に葉っぱの破片を運んでいた。思わず、にこっり微笑んでしまった。

 

サンパウロの街中はほとんどコンクリートで固められ地面はほんのわずかしか残されていない。愛犬が死んだとき、埋める場所がなくほとほと困った覚えがある。そんなハードな環境で、葉きり蟻が息づいていたのだ。

 

アマゾンや田舎ではよく見る蟻であるが、サンパウロでは初めてである。それだけにうれしくなった。えっちら、おっちら、彼らが運ぶ様子を見ていて、心の中の曇りもすっかり晴れてしまった。

 

【写真説明】蟻を撮っている僕を見て、周囲の人々が奇異な目で見ながら通り過ぎる。なかなかうまく撮れない。マクロレンズがほしい!

 

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sentoro.jpg土曜日で一般の通行人が少ないせいだろうか、プラサ・ダ゙・セの雰囲気が非常に荒れていた。

 

教会の入り口の階段にはぼろ布をまとった人々が、ハゲワシのように、空ろな目をして座っている。広場には死んだように眠る人々が倒れている。その姿はまさに死体である。そのすぐ横では、布教家が神の教えをわめき散らしている。まったく不思議な光景である。

 

カメラを持った指がうずくが、今日の僕にはなかなか撮る勇気が起こらない。もし警官に見つかると尋問を受けることが確実だし、それらの目を潜り抜けて写真を撮るパワーが今日の僕にはなかった。そんな自分が、また嫌になる。感覚のまま写真を撮れる人間だったらどんなに楽かと思う。

 

僕の頭には、「写真は暴力である」とあるカメラマンの言葉が常にある。それは僕にとって人の写真を撮るにあたっての戒めであり、時には写真を撮れないことの言い訳でもある。人並み以上に小心者の僕は、見ず知らずの人の写真を撮るのは怖いし、文句を言われたり、怒られたりして傷つきたくない。

 

さらに僕自身写真を撮られるの嫌いである。だからできるだけ、人が嫌がらない写真、喜んでもらえる写真を撮ることを心がけている。でも、えてして僕がひかれるシャッターチャンスはその逆のことの方が多い。そんなシーンに出くわすと、撮りたいとの欲求と、撮らないほうがいい、というせめぎ合いである。

 

そんなわけでセントロを歩くと、精神的に結構疲れてしまう。

 

【写真説明】天使の姿をした大道芸人。最近この手が増えた。サンパウロはどんどん住みづらいところになっている。天使にお布施を渡したくなる気分になるのも分かる 

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年も明け、部屋を見回すと、あまりの汚さに辟易してきた。ベッドの上も、床も、モノがいっぱいで、ゴミに埋もれているような生活である。年末に一度、大掃除を試みたが、それもかなわなかったので、年始の掃除を試みた。

 

burasoujijpg以前ゴミの中で暮らす僕の生活状況を友人に話すと「楮佐古さんには、そんな生活が似合ってるから、そのままが一番いいですよ。無理をせずにね」といわれ、その時はそれもそうかもしれない、と思ったが、やはりきれいな部屋が気持ちいい。ただ、僕には掃除ができないだけである。かといって誰かに掃除されるのも嫌だし・・・・。いつもいや応なしに掃除してくれるホテル住まいが一番僕にはあっているのかもしれない。

 

さっそくベッドの上から。そして下に。ゴミの中に隠れていた、逃亡中だった亀をまずたらいにもどし、ベッドの下のゴミに手をつけようとしたが、そのあまりの多さにうんざりしてしまい、あっさりギブアップ。まあ、とりあえず、ベッドの上が綺麗になったから良いではないかと、自分を慰める。

 

この部屋はいつになったら綺麗になることやら・・・・トホホホ。

 

【写真説明】外に出ると、もう夕暮れ時。今日は、金曜日だというのに休みの狭間のせいか町に活気がない。最近外にもでずずっとこもっていたせいか、なかなか写真が撮れない。やはり町の写真は毎日撮らないとダメだと深く反省 

 

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サンパウロ市内では、週に2回ほど、野菜や果物を中心に売るフェイラ(青空市場)が各区にたつ。ちょうど高知の日曜市のようなもので、安くて新鮮な食料品が購入できる。どこのフェイラに行っても必ずあり、フェイラの名物料理がパステルである。

 

パステルとはチーズやひき肉を小麦粉で作った薄い長方形の皮で包んだものでブラジルではもっともポピュラーな食べ物のひとつである。1つが1.5レアル(100円)ほど。ある人がいうには、「あれは空気を売っているようなものさ」というように、材料費に比べて儲けが大きいらしい。確かにひどいパステルになるとほとんど中身がなく、小麦粉の揚げたものを食べているような気分になる。

 

pasuteru.jpgパステルの種類は中身に応じて、チーズ、カルネ(ひき肉)・・・、などのほかにスペシャルと呼ばれる、ゆで卵、ハム、チーズ、ひき肉などが入ったそれこそ王様のパステルがあり、友人に勧められて初めて食べて、すっかり気に入ってしまった。

 

店によっても違うようだが僕のよく行く店では大きさも価格も2倍で中身は2.5倍ほどあり充実している。ひとつ買って子供と分けて食べると随分得した気分になる。

 

以前はフェイラに行っても食べたこともなかったが、今では、フェイラに行くとパステルを食べるというのがすっかり習慣になってしまった。

 

【写真説明】普通パステルを食べるときに飲むのは、カウド・デ・カーナ(サトウキビジュース)。ジュースの甘さがパステルの油っこさを緩和してくれる。まさに絶妙のコンビ

 

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 リベルダーデのメトロの駅を出ると、階段のところで、まるでカラスの群れのような黒い服を着た若者の集団がたむろしていた。若者の間では、最近のリベルダーデは昔の東洋人街というイメージから、アニメやコスプレなどのメッカ的場所に変わりつつある。リベルダーデは彼らの中では「リバ」と呼ばれ、ちょっと洒落た日本製のアニメ関係のグッズや漫画、おもちゃなどを探しにきたりしているようだ。そうした若者たちが、次第に広場に集まるようになったのだ。

 

 

burazilribe.jpgこれは面白いと思い、カメラを取り出し写真を撮った。ちょうど持っていたカメラが大きめの一眼レフだったので目立ったのだろう。数人が追いかけてきて「何で撮ったの?」ときいてきた。その言い方は決して怒った風でもなく、むしろ好奇心から、というのが分かる、嫌味のない言い方だった。それで、こちらも、ニコニコしながら「面白かったからだよ」と撮った理由そのままに答えた。

 

 サンパウロで写真を撮っていると、「なぜ撮るの?」と怒ってきいてくる人が多い。もちろん何も言わないで撮る方が悪いのだが、撮るにあたって、そんなに大きな理由はほとんどない。そんなことが最近しょっちゅうなので、よっぽど撮りたいシーンでない限りはサンパウロでは人物写真はあまり撮らない。

 

 彼らは僕の言ったことを納得してくれ、中の二人が写真を撮ってくれという。それが今日の写真である。

 

 多分、彼らの着ているファッションが今サンパウロの若者たちの典型である。男は黒っぽい服に帽子、女はフランケンシュタインが履いているような厚底の靴やブーツに黒い服。そしてどちらもピアスを鼻や唇、眉、舌にし、刺青をしている。中には、牛の鼻輪のような鼻ピアスをしている若者もいる。そんなピアスのどこがかっこいいのか分からない僕はついつい笑ってしまう。おそらく、もう僕と若者のとの間に、モノに対する基準や考え方に大きな隔たりがあるせいだろう。

 

 しかし、ピアスに開けた穴が化膿したりして鼻が落ちたなんてことにはならないのだろうか。人ごとながら心配してしまう。

 

【写真】何も言わないのに、しっかりポーズまでとってくれた若者

 

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