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困った時は相身互い

東日本大震災で、ほとんどの方が何らかの形で寄付をしたことでしょう。

きょうの高知新聞夕刊によりますと、埼玉のトイレに「東北の人に使ってもらってください」と書かれたメモと一緒に現金1千万円が置かれていたそうです。

ソフトバンクの孫正義社長の100億円寄付にもびっくりしましたが、世の中奇特な方もいらっしゃいます。

でもなぜトイレに?

トイレ、しかも市役所のトイレとなると、たくさんの方が出入りするので、不心得者がいたとしたら、そのまま持ち逃げされても分からないのでは?

ただ、心理的に10万円なら、そのまま持って行こうという人はいても、1000万円だと普通の人なら動揺するかもしれません。

正規のルートで寄付するなら、名前は伏せられるし、トイレに置く意味が理解できません。

人前に顔をさらして、寄付行為をすることが耐えられないほど羞恥心のある方なのでしょうか。

日本人は欧米や諸国と比べて寄付行為自体が少ない、とはよく言われることです。

多分に宗教観が影響しているのでしょうが、輪廻転生が多くの人に信じられているインドでは、富裕な者が貧しい人に施しを与えるのは当たり前の行為です。

貧しい人は生まれ変わったら経済的に豊かになり、豊かな人は次の世では貧乏になる。

現世は仮の姿。お金のある人は、お金のない人に施しを与えるのは当然という考え方です。

欧米人も同じ思考なので、「富める者が貧しき者に施しを与えるというのは、ちょっと違うんじゃない?」とイギリスの知人に話したことがあります。

日本人が寄付する場合は村落共同体で長らく過ごしてきた経験から「困ったときはお互い様」という考え方からじゃないでしょうか。

きょうの富者もあすは貧者に。その逆もまたしかりです。

それぞれが蓄えを持ち寄った原資を困った人が借りる「頼母子」(たのもし)という伝統的な金融システムにも通じますが、「あすはわが身」の日本人的共助から寄付行為も来ていると思われるのですね。

ご存じのとおり、日本人は戦後、世界でもまれな国民全体が平均的に豊かになる社会を作り上げました。

世界標準の「困った人」があまりいない世の中になった。

ですから国民が寄付をする必要を認めなかったということではないでしょうか。

このたびの大震災の多額の国民からの寄付を見る限り、「困った時は相身互い」の考え方は現代にも生きていると思います。

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