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高知市で在宅医療に取り組む医師、和田忠志さんが、医療のことや日ごろ考えること、身辺のことを自在につづります。
2009年1月アーカイブ
欧米やわが国の現在の民主主義システムは、不完全とはいえ、なんだかんだ言っても、よくできていると思うのですが、権力者の側から常にそれは脅かされるということでもあります。
丸山真男(1914 - 1996政治学者)は、民主主義は、国民がいつも意識的に希求し活用し続けなければ枯れていくという認識をしています(「である」ことと「する」こと)。国民がたゆまなく民主主義を行使すべきという教訓です。
それから、憲法の改正には慎重であるべきだと思います。憲法は、もちろん国民のためにあるものなのですが、つまるところ、「権力者を縛る」機能が大きい法規ということです。
「権力者を縛るためにあるもの」の改訂を、権力者が発案することのリスクがここにあります。また、「より簡単に憲法を改正できるようにする憲法条文改正」もリスクが高いと思います。効率的に優れていることよりも、「回りくどさを重視」した手順・・・民主主義システムの特性…が弱まるからです。
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優れた権力者が独裁的に行えば非常に効率的に行えるであろうことを、権力者を「悪」と決め付け、関門を設定し、紆余曲折と思える手順で物事を進める手法が、民主主義のシステムと私は認識します。
ですから、民主的決定プロセスが回りくどく、無駄があるのは当然のことです。そのように仕組まれているのですから。極言すれば、効率的に優れていることよりも、「回りくどさを重視」した手順を有するのが民主主義システムと思います。
米国の大統領の三選禁止というのもすごい制度です。いかに優れた人が大統領であろうとも、「より優れていない人にでも交代することがなおよい」というシステムです。「間違って堕落しやすい人が権力の座についても、二回までしかその座にいられない」こと、そのことを実現するためには、「優れた大統領の継続をものともせず犠牲にする」システムです。
別の見方で言えば、「いかに優れた人でも、長期に権力にいると必ず堕落する」と決め付けてかかることで、民主主義を担保するシステムです。米国大統領が代わるとホワイトハウスの人員も‘総とっかえ’になるというのもすごいですが、これも、「政策の継続性」よりも「権力堕落の防止」を優先したシステムといえます。
さまざまな国を見ると、最初は国民に期待されて選ばれた権力者が、権力を維持するためにあの手この手で任期を延ばし、最終的に長期権力になると堕落してしまう例は、枚挙にいとまがないように思います。
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民主主義は、大きな「人類の叡智のひとつ」であると私は思っています。どのような叡智かというと、「権力をもつ人間に対する深い諦め」から来ていることです。その意味では、民主主義は理想というよりは、権力をもつ人間が辿る運命に対する深い洞察と冷徹な現実認識による叡智だと、私は認識します。
議会制にしても、三権分立にしても、すべてが「強い権力を抑制するため」に作られています。権力を持つ人間を「必ず悪になる(堕落する)」と決め付けるシステムです。「権力を持つ人間を善と認識するよりも、最初から悪と認識して抑制すべきという叡智」です。
衆議院の解散など、ある意味では、恐ろしく犠牲と無駄のあるシステムです。衆議院会館の前を通るたびに、この会館全部が白紙に戻るとして、解散時の引越し費用はどれだけかかるんだろう、と想像してしまいます。
衆議院が解散したり、国会が会期切れになると、通らなかった法案は‘ちゃら’になり、しばしば官僚が作り直す作業が発生します。これも無駄が多いといえば、そのとおりです。
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現在、日本では、ホスピスが入院施設に限定され、アメリカやイギリスのように自宅でのホスピスに対する理解が少ないことが批判されています。岡村は、どうやら1980年ごろから、そのような施設中心ホスピスに批判的な考えをもっていたようでした。
あまりの先見性に驚きます。
「…私を勇気づけるのは、今までホスピス内部でのみ独占されると考えられてきたホスピスケアが、いつのまにか、一般の医療部門に吸収され、プライマリーケアの質の向上に役立つようになってきたことである。
プライマリーケアの質の向上が常に進み、その結果として、ホスピスケアの優れた開発が行われることが理想である。プライマリーケアの質が低いから、ホスピス運動が盛んになるとすれば、そのような医療は最悪である」と、シシリー・ソンダース氏(英国ホスピス活動のリーダー)の言葉を引用しています。
私も、人間の苦痛を和らげる治療である「緩和ケア」の技術は、普通の医師の「普通の技術」であるべきだと考えてきました。いいかえれば、圧倒的多数の人の死と対面する医師たち、すなわち、一般病院の医師、老人病院の医師、そして在宅医療担当医の基本的技能として普及すべき技術であり、ホスピス病棟に限定されるべきではないと考えていましたので、この岡村の認識には感銘を受けました。
最近になって、やっと「緩和ケア」を一般の医師に普及させようという動きがありますが、本来、「研修中の医師全員に基礎的な緩和ケアの研修を義務付けるべき」というのが、私の主張です。
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