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高知市で在宅医療に取り組む医師、和田忠志さんが、医療のことや日ごろ考えること、身辺のことを自在につづります。
2009年4月アーカイブ
私はわが国は生き残れるのか、という不安を持っています。
日本は世界に類を見ない恐ろしい速度で高齢化が進んでいるのですが、それは老人が増えるのみならず、女性が子供を産まないためです。
現在、高齢社会と言われていますが、完全に序の口です。本当の高齢社会は私(1960年代生まれ)のようなのものが寝たきりになったり死んだりするころ、さらに、今子どもの世代が生きる時代こそ、強烈な高齢社会になると推測されています。
生産年齢人口(a)を15歳から64歳として、老年人口(b)が生産年齢人口に比べてどうなるか。
つまり、「b/a」を見ると、1955年には8.7%、2005年には30.5%、2030年推定は54.4%、2055年推定は79.4%です(中位推計)。
生産年齢人口が高齢者人口を支えるとして、1955年には12人で1人を支えればよかったのが、2030年には1.8人で1人を、2055年での推定は1.3人で1人を支える構造です。
わが国がどのような社会になるかをある程度想像できると思います。
私たちの世代が寝たきりになり、死に瀕するとき、若い世代が相当に少なく、医師や看護師や介護職のなり手も今より少ないと推定されています。
産業を支える若年人口がトータルに少なく、国力は今よりやや弱くなると思われます。もちろん、国の人口そのものも減少し続けます。
国の産業などをリードする傑出した人が出る可能性は一定なので、人口そのものが少ないと、優れた人の数も減少します。
なぜ、ここまで高齢化が深刻なのか。もちろん、「団塊の世代」と言われる人たちの人口が多いことは間違いありません。
「団塊の世代」が高齢者になるとき、わが国の高齢化は心臓破りの時期だと言われています。
でも、その人たちが多いだけでは、ここまでのことは起こらないとされています。つまり、子供が少ないことです。
出生率が高ければ、高齢化はある程度のところでとまるのです。ヨーロッパの高齢社会では出生率が下げ止まっているから高齢化が頭打ちになるということがあります。
しかし、わが国の高齢化はとまらない。それは、出生率がなお下がり続けているからです。
現在の出生率であると、1990年生まれの女性が子供を持たない確率は37%(中位推計)、1990年生まれの人が孫を持つ確率は50%未満と推測されています。恐るべきことです。単に高齢社会の問題ではなく、日本人存亡の危機ではないか、とすら思います。
今、政治家は、女性が安心して子供を産み、子供が増え、人口が温存できる政策を真剣に考えるべきと思います。
田中角栄のいうとおり、政治は未来の世代に対して、今、人類の進歩をつないでいるのですから、目前のことに右往左往する政治ではなく、私たちの子供や孫、つまり、30年後、50年後のわが国の国民が安心して暮らせる社会を目指すべきだと思います。
あまりにも後世へのつけが大きすぎます。例えば、現在の赤字国債も将来の増税を意味します。しかし、将来はわが国で働ける人が少なく、生産能力が低いにもかかわらず、です。今の政治は目前のことのために将来のわが国を犠牲にしているような気がしてなりません。
資料出典 島崎謙治「明日の在宅医療」第一巻第三章「在宅医療と政策」および、島崎謙治先生の講演
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