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高知市で在宅医療に取り組む医師、和田忠志さんが、医療のことや日ごろ考えること、身辺のことを自在につづります。

 

非がん疾患の緩和ケアを推進すべきである

読者の皆さんは「緩和ケア」という言葉を聞いたことがありますか?

緩和ケアとは、主に「治らない病気」に対して、その人の苦しみの全体像に迫りながら、最期までのケアを行うことを言います。緩和ケアにおいては、「全人的な痛み」という考え方が非常に重視されますが、全人的痛みについては、次の機会に述べることにして、今日は、緩和ケアに関する私の主張を述べたいと思います。

higan.

これまで、「緩和ケア(あるいはホスピスのケア)」は、主に、「がんの苦しみ」の緩和に焦点があたっていました。しかし、私たちは今後のわが国において、「非がん疾患」の緩和ケアに着目すべきことを主張しています。

在宅医療の世界でも、保険診療の内容においても、治らないがんの患者さんの診療が優遇されていますが、がん以外の患者さんで治らない病気に苦しみ、死に至る患者さんにも同様の恩恵が与えられることこそが、人権への配慮というものであろうと考えています。

我が国において、「全死亡」のうちでの自宅での死亡率は12%程度です。一方、「がん患者さんのみ」をとってみると自宅死亡率は7%程度です。我が国において、がん患者の自宅死亡率が低いというのは、がんの患者さんが自宅で最期まで過ごすことが困難であることを意味します。その意味において、「がんの在宅医療」を推進することの重要性は私も理解しています。

ところが、在宅医療を積極的に行う医療機関でデータを取ると、「がん患者」の自宅死亡率は5割を超えることが多いが、「非がん患者」では5割を超えることは少ないのです。

この話を聞いた方は不思議に思うかもしれません。わが国全体で見ると、がんの患者さんが自宅で最期まで療養するのが難しいのに、「在宅医療を積極的に実施すると、それが逆転して、がん以外の患者さんのほうが最期まで療養する確率が低くなる」のです。

この現象は実は、わが国で積極的に在宅医療を行っている地域で共通に見られます。在宅医療を積極的に実施すると、「非がん疾患の緩和ケア」の困難さが明確化するからです。
在宅医療が普及した地域でのこの現象の理由は次のように考えられています。

非がん疾患では、①予後予測(見通しや見立て)ががんに比べて難しいこと、②がんでは痛みなどの症状コントロールのスタンダードが明確なのですが、非がん疾患においては明確でないこと、③非がん疾患患者さんでは身体能力が低下してからの生存期間が長いために、がんの場合のような短期決戦ではなく、家族の心理的・身体的・経済的な負担が大きいことなどが、その要因として考えられています。平原佐斗司らによる在宅医療現場での研究で、①に関しては「主治医が予測できない死亡が3割程度存在する」こと、②に関しては、がんと異なり、「呼吸困難が緩和すべき症状の第一位」であることが示されています。

これまで、緩和ケアは主にがんに注目して行われてきましたが、今後は、「非がんの患者さん」、そして、「重度の障害を持つ小児や若年者」にも注目して実施されるべきであると、私は考えています。

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日本を憂う未来の後藤新平 :

同感です.今年の呼吸器学会でも,非癌患者への麻薬投与について発現しました.呼吸困難を安楽にできるのは,一般に呼吸抑制が副作用であると謝られた認識で使用されるモルヒネそのものです.私自身,日本での適応はないことを十分に説明した後,ご家族に納得していただいてモルヒネの持続点滴,あるいは持続皮下注射をターミナルケアの一環として使用しています.頻呼吸で辛そうにされていた患者さんはモルヒネの持続使用で,安らかな顔をされるようになっています.
 臨床医から声をあげないと,非癌患者への麻薬投与は普及はおろか,認識すらされないと思います.
 和田さん,応援します.

後藤新平様
 おたよりありがとうございました。ぜひ、がんのみならず、非がんの緩和ケアもよりよい形で普及させたいと思います。今後ともご指導のほど、よろしくお願い致します。

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このページは、uniqueが2010年5月 3日 16:14に書いたブログ記事です。

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