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2010年6月アーカイブ
今回は、介護保険制度について私見を述べてみたいと思います。
私は介護保険の「介護認定制度」を不要と考えています。2000年に施行された介護保険は十年の歴史を有しますが、現場での様々な問題が明確になってきました。私も「公的介護」をわが国に導入すべきという議論から始まり、「介護保険」制度に至るまでの議論をそれなりに理解してきたつもりです。そして、施行後10年の現場経験から見て、特にこの認定制度が非常に大きな問題ではないかと考えています。
医療保険制度は、医師および看護師の裁量を認め、医師の指示があれば、それが医療保険で給付されるシステムです。一方、介護保険は保険給付の限度額(正式名称「区分支給限度基準額」)が要介護や要支援の各段階で決められています。
この要介護や要支援を決定する権限は市町村役場にあります。これが「認定」です。そして、この「限度基準額」の範囲内でしか、ケアマネジャーは利用者の介護内容をデザインできません。
また、このおのおのの介護保険利用希望者の「要介護」や「要支援」の各段階を決定するために市町村に「介護認定審査会」が設置されています。私は、平成11年度(介護保険施行半年前)から、この審査会の委員をしています。東京都足立区、千葉県松戸市、高知県高知市の認定審査員を私は歴任し、現在に至っています。
私は、「この認定が要らない」という考えです。つまり、認定の手続きも、認定審査会も要らないという考え方です。その理由について述べてみたいと思います。
第一は、本質として、「介護が必要な人に必要なサービスの給付を与えればよい」というだけの話です。医療保険では医師の良心と判断に従って、医師が必要と判断したら、保険の範囲で診療が可能です。ケアマネジャーの良心と判断に従って、ケアマネジャーが介護が必要と判断したら、 必要な介護を給付をすればよいと私は考えています。
介護保険施行前のモデル事業で、足立区で24時間対応型の訪問看護・訪問介護を試みた、増子忠道先生、宮崎和可子さんらがだしたデータでは、独居の寝たきりの人を自宅で支えるための介護リアルコスト(当時・足立区)は月あたり50万円超とされています。
しかし、介護保険施行時には、当時の特別養護老人ホーム入所者措置額等を勘案したと想像されますが、結局、居宅サービス最高限度基準額が36万円強ということになりました。つまり、介護保険制度は最初から「家族介護力に恵まれない寝たきりの人は自宅に居ることが困難」という制度設計です。こういう制度設計ですから、「足腰が立つうちは自宅で過ごせるけど、寝たきりになるともうギブアップの人続出」という現実が生み出されているというのが私の認識です。
つまり、私は、「認定が必要ない」のみならず、「給付上限(最高限度基準額)も必要ない」と考えています。あるいは、限度上限をつけるとすれば、50~60万円程度の上限にしてよいと考えています。実際に、36万円以上の介護コストを利用する人は、現在の要介護4・5に区分されている人の一部と思われます。
そして、実際にはそういう介護度の重い人の平均生存期間は長くありませんから実数は少なく、実際に使用されるお金は莫大ではありません(このことも足立区モデル事業時から分かっている)。その意味で、多くの資金が使われる認定審査などより、はるかに社会のためになるお金の使い方ではないかと思っています。
また、マクロ(概観的)には、現在、認定されている限度基準額の半分程度しか使われていない現実があります。つまり、総体みて、「国民は、必要なものだけを利用する見識を持っている」と思います。その意味でも、「必要な人」には、50万円程度の公的介護サービスを受けてもらうことは社会益だと考えています。
【写真】潮江小学校の校歌にも歌われている緑の筆山(2010年4月29日)
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