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高知市で在宅医療に取り組む医師、和田忠志さんが、医療のことや日ごろ考えること、身辺のことを自在につづります。

 

介護保険制度の根本問題 その後の討論(2)介護保険制度における給付管理の困難性①

医療保険と異なる給付管理の困難性

認定制度が必要と考える有識者および厚生労働省担当官の最大の懸念は、「認定制度がない場合、給付が適切に制限されず、公費運用としては適切でない利用が広がるのでないか」ということです。これにはいつくかの理由があります。

1.Needs指向性のサービスとWants指向性のサービス

第一は、医療が「必要性(Needs)指向性のサービス」なのに対して、介護が「要求(Wants)指向性のサービス」という側面が大きいことです。

例えば、病院に行きたい人は多くはありません。「できれば薬を飲みたくない」と思っている人が多いし、「できれば入院したくない」と思う人が多く、「できれば手術を受けたくない」と考える人が多いと思います。必要であれば薬も飲むし、必要であれば手術も受けるが、できれば、そういう経験は人生の中で少ないほうがよい、と考える人が多いと思います。

医者の私ですら、そう思います。患者さんに対して、(自然の治癒力を生かして)できるだけ少ない薬で治療したい、点滴せずに口から飲食する方法を模索したい、できることなら手術を回避したいと思います。

もちろん、薬が好きな人、点滴が好きな人もいますが、それは必ずしも治療の本来の姿ではないと思います。医師は、医療の行為が「治すもの」「支えるもの」であると同時に「内科は毒盛り、外科は傷害」という両刃の剣であるという意識を捨ててはならないと思います。

したがって、患者さんが「抗生物質がほしい」あるいは「点滴をしてほしい」と希望しても、医師が「現段階では必要ないから今日はやめておきましょう」と話すことも珍しくないと思います。

ところが、介護保険給付の場合は必ずしもそうではありません。例えば、ヘルパーさんが来てくれて、部屋の掃除をしてくれたり、食事を作ってくれたり、買い物を自分の代わりにしてくれたりすることは、多くの人にとって、積極的な意味で、ありがたいことです。
「これを九割引きの値段でしてもらえる」のであれば、「ぜひお願いします」という人は多いと思います。また、ヘルパーさんが身体の世話をしてくれたり、入浴させてくれたり、デイサービスで入浴などができることも、もちろん受ける人の価値観によりますが、おおむね、これらを受けることをうれしいと思う人が多いのではないかと思います。

また、デイサービスやショートステイを受けることは、介護する家族にとっては、多くの場合、非常にありがたいことです。

ここが、医療保険給付と介護保険給付の質的な違いとされます。つまり、医療は「本当はあまりうれしくないが必要に迫られた状況」下でものを提供する「Needs指向性のサービス」であるが、介護保険給付は「本質的にうれしいものを提供するWants指向性のサービス」になってしまう可能性が大きいことです。

そして、本人や家族が、「掃除をしてほしい」「身体の世話をしてほしい」「ショートステイをケアプランに組んでほしい」という希望をしたとき、ケアマネジャーの側で、場合によっては「現段階では必要ないからやめておきましょう」と語ることは非常に難しいともいえると思います。

しかし、給付財源となる保険料や税金を出す国民の側から見れば、「基本的にはNeedsに対しては給付を行うのが筋であり、Wantsに対しての給付はどうだろうか」という話になるのが当然の論だと思います。「必要であるからこそ、国民が税と保険料を負担して、高齢者の介護を助ける」のが本来の建前のはずです。「Wantsに対してどんどん使われてしまっては困る」というのは当然の理です。

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【写真】高知空港近傍沿道の花壇(2010年7月24日撮影)

ここで私の意見を繰り返しておくと、すでに述べたように、マクロ(概観的)には、現在、認定されている限度基準額の半分程度しか使われていない現実があります。つまり、総体にみて、「国民は、公費で私腹を肥やすのではなく、必要なものだけを利用する見識を持っている」とは、私は考えています。ですから、現在、国民が、「Wantsに対してどんどん使っている」という現状ではないと思っています。

(「介護保険財政の将来像を考える」池田省三 2008年7月31日社会保障国民会議
サービス保障(医療・介護・福祉)第6回 インターネット公開資料より引用)

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このページは、uniqueが2010年8月31日 15:14に書いたブログ記事です。

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