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高知市で在宅医療に取り組む医師、和田忠志さんが、医療のことや日ごろ考えること、身辺のことを自在につづります。

 

介護保険制度の根本問題 その後の討論(3)介護保険制度における給付管理の困難性②

2.ゲートキーパーとしてのケアマネジャーの有効性は十分かという議論

「認定制度がない場合、給付が制限されず、適切でない利用が広がるのでないか」という危惧のもう一つの理由は、「医療保険制度における医師に比べて、ケアマネジャーのゲートキーパー機能が弱いのでは」と考えられている点です。

すでに述べたように、介護保険給付の内容は、Wants指向性のサービスになってしまう側面が大きいことがあります。そして、医師と異なり、「このサービスは現段階では必要ないからやめておきましょう」とケアマネジャーが利用者を説得することが難しい点では、明らかにケアマネジャーに不利であることです。

ここで一ついえるのは、医療は、医師という高度の専門知識を有する人間が必要なサービス内容を選択し、それを患者さんに提案するのに対して、介護保険の場合には、利用者は高度の専門知識がなくてもサービスの内容が選択できます。その意味でも、「このサービスを入れてほしい」という利用者サイドの要求にケアマネジャーが抗しがたいといえます。

また、介護保険制度には、医療と異なり、株式会社が参入しています。医療機関についていうと、もちろん、「医療機関が株式会社に比べて営利性がなく、公益性が高いところばかりである」はずもないのですが、介護保険制度に参入した株式会社ではグッドウィル(コムスン)の例もあり、営利的な活動に対する警戒感があります。

ケアマネジャーにはサービスを提供する側の株式会社所属の人もあり、どうしても、ケアマネジャーが所属する会社の意向を汲んで、サービスを提供する側面があるのでは、という危惧が語られています。

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【写真】筆山上空に上がる花火(2010年8月9日)

和田の解説

和田の考えでは、厚生労働省は、「医療保険制度においてできなかったことを介護保険制度で試したこと」が二つあると考えています。それは、「混合介護」と「株式会社参入」です。(「混合介護」は正式な用語ではなく、和田の造語です。このブログで便宜的に使わせてもらっています)

医療では、「混合診療」は禁止されています。「混合診療」とは、保険診療と、自費(保険外)診療を併用することです。実際には、診察時間内に自費の予防接種を行うなどは行われていますが、基本的には混合診療は医療保険制度では禁止されています。しかし、介護保険制度では、支給限度基準額以上のサービスを使用したいときには、自費でいくらでも同時並行でサービスを利用することが可能です。つまり、「混合介護」が最初から、制度に組み込まれています。

わが国では、株式会社は、現在も医療機関を経営することができません。米国などでは普通に行われていることですが、わが国では、ごく一部の例外を除いて、株式会社の参入が認められていません。高知医療センターでは、間接的な株式会社の運営支援を受ける形態を試みましたが、うまくいかなかったことは耳に新しいところです。

しかし、介護保険制度においては、最初から、株式会社の参入が認められており、ホームヘルパーなどの居宅サービス事業所も、ケアマネジャーの事業所である居宅介護支援事業所も株式会社が運営することが認められています。(しかし、特別養護老人ホームなどの経営には株式会社は参入できていません)

介護保険制度によるサービスが、同制度施行後、急速に全国津々浦々に広がったことは、株式会社参入を許したことの功績の一つといえなくはないかもしれません。しかし、コムスンの苦い経験もあり、株式会社を公益的な事業で活動してもらうことには賛成の意見ばかりではないようです。

五島正規先生は、この二つのほかに、ゲートキーパーとしての認定制度が介護保険での新しい制度設計であるというご意見を持っておられます。

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