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高知の喫茶店を総まくり!独自の喫茶文化を世界に広めんと結成されたモーニング探検隊、略してモニ探。県内をかけずり回っておいしい情報をお届けします。
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 ※モニ探は火曜土曜の週2回更新です!

 

2007年12月アーカイブ

こんにちはメリークリスマス。街もすっかりライトアップされ、一年で一番華やかな季節ですね。あなたは誰と、クリスマスを過ごしますか?

モニ明「『おいしいところが、メリークリスマス』っていうコーラのCMあるじゃないですか」
モニ鍋「あのイケメンとか女王様が出てるやつね」
明「その女王様なんですが、『パンチのきいたおしゃれして』って何ですねん」
鍋「どんなすごい格好したらえいのか、とは思うね」
明「一般人は女王様みたいな格好できませんがな。金髪のかつらとかヒョウ柄のドレスとか無理じゃないですか、常識的に考えて」
鍋「まあねえ」
明「『女の子の皆さん』とか一見、親しみやすそうに言いながら、そんな無茶なことばっかり言うからバッシングに遭うんですよ、ねえ?」
鍋「・・・」
明「あ・・あれ?ひょっとして団長、ファンでした?・・・」
鍋「別に」

さて、気を取り直してメリークリスマスなわけですが、クリスマスといえば赤と緑です。緑と言えばアレです、スタバです。

明「スタバ・・・高知の喫茶店を応援するブログで、よくもぬけぬけと・・・」

ちゃうがな。敵を知り己を知れば百戦危うからず。今年、高知にもとうとう出店したあのメガチェーン。日経BP調査で「ブランドイメージが高い外食企業」の1位に輝いたカリスマ性。女の子の皆さんも大好きなスタバ。確かに高知の喫茶店にとっては脅威の黒船だけど、恐れているばかりでは何もできない。人気の秘訣とか愛される理由を探ってこようではないか。

明「手に持ってる、その招待チケットは何ですか?」
鍋「ぎくっ」

要するにオープンに先駆けて、プレス向けの招待チケットをもらったわけなんです(取材は11月に行いました)。

鍋「まあ、スタバ行ったこともないし、ああいうチェーン店は嫌いやけどね。仕事やし、仕方ないから行ってくるわ」
明「それはそれは、取材ご苦労様です」
鍋「何飲もう。キャラメルマキアートかな、やっぱり。ソイミルクにしてエスプレッソショット追加しようーっと」
明「めちゃめちゃ詳しいじゃないですか!おいこらおっさん、僕も連れてけ!」

     ◆

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高知県内のスターバックスは今年(2007年)、一挙に3店がオープンした。1号店が高知市薊野の「高知あぞの店」で、2号店が南国市岡豊町の「高知大学病院店」。3号店がこれから紹介する「高知潮江店」で、県内初めて、中四国でも3店舗目となるドライブスルー店舗だ。

これまで高知にスターバックスが進出しなかった理由については、諸説ある。スタバの市街地店舗は、繁華街の中でも人がとても集まる場所しか選ばない。人口が少なく、街が寂しくなりかかっている高知ではなかなか条件に合う場所がなかったとの説が一つ。

スタバはその街の人気スポットに出店することで、売り上げの確保とともにステータスの堅持を狙っていると聞く。高知県民としては寂しい話だ。

しかし、結果として高知に進出したのはいずれも郊外型店舗だった。この辺の狙いも興味深い。高知市潮江の土佐道路から続く街道沿い、TUTAYA潮江店のすぐ近く。しゃれたレンガ造りの建物が迎えてくれた。

店内は適度に照明が抑えられ、落ち着いた雰囲気。天井が高く開放感がある。ドライブスルー店舗だが、もちろんソファ席もあって店内でも珈琲が楽しめる。プレオープンとはいえ、近所の人も招待したのか割とお客さんが多く、厨房はまだ初々しい声のスタッフが元気良く走り回っている。

スタバってどの店舗もそうだけど、くつろげる店内スペースと活気のある厨房が良いコントラストを示している。でも高知の喫茶店を愛する者としては、味のあるマスターや読み放題の雑誌がないとなんとなく居心地が悪い。

鍋「飲んだら帰る、しかないな。みんなスタバで何してるのかなあ」
明「おしゃべりしたり、本を持参で読書したりしてるんですよ」
鍋「そんなんじゃ何時間もおれんやんか」
明「まず、喫茶に2時間も座る方がいかんのではないかと」

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何を言う。喫茶で座るのも高知の大事な文化やないか。それはいいとして、さっそく飲み物を注文。いつものキャラメルマキアートと、冬を意識して「ホワイトチョコレートモカ」にチャレンジ。クリスマスシーズンということで「ジンジャーブレッド ラテ」などの限定メニューもあります。試供品をいただいた。ちゃんとクリスマス的パッケージである。

スタバでは注文の際「カスタマイズ」といって、使用するミルクをソイミルク(豆乳)や低脂肪乳に変えたり、バニラシロップなどのフレーバーを追加したり、店内にあるシナモンなどのスパイスを振りかけたりと、自分好みの味を作ることができる。

鍋「例えば、スターバックスラテ(標準的なカフェオレ)を+ミルクを豆乳に変更(+¥50)+バニラシロップ(+¥50)にすると、100円アップで少し違った味が楽しめるわけやね」
明「・・・詳しいなあ・・・」

ちょっと甘くて後悔したホワイトチョコレートモカを飲みつつ、スタッフに話を伺う。店舗営業本部のマネージャー、井上知行さんは物腰柔らかながら、熱血さが見え隠れする好漢だ。

「高知は情に厚い人が多いですね。店舗開発で高知に来て、魅了されました」と笑顔の井上さん。高知への出店が遅れたワケは、と無遠慮に聞いてみると「タイミングが合わなくて、お待たせしました。でも今後、まだ出店していく可能性がありますよ」と率直に話してくれた。

スタバでは現在、ドライブスルーなどを含む郊外型店舗に出店形式をシフトしている。高知でも繁華街は厳しいが、整備が進む道路網や自動車で移動する人が多いことから「マーケットとして魅力はあります」という。

でも、人口が少ない高知ではチェーン店の展開は難しいんでは? 現実に、全国どこにでもあるファストフードでも、高知には出店していないところが多いのに・・・。それに、経済力のある全国チェーン店が地元の喫茶店の競合相手になるのは怖い気がします。

これに対し、井上さんは「高知の喫茶文化」を挙げた。「何十年も前から、個性的な店がたくさんあって、皆さんが楽しんでいる。地域サロンのような感じで、漫画や言論といった高知独自の文化の土壌にもなっていると思います。他県にはない文化だし、尊敬してるんです」とうれしい言葉。

「その中に入らせてもらって、高知の喫茶文化を再構築するお手伝いができれば。スターバックスは地域貢献を目指しています。短いスパンではなく、地域に溶け込んで愛され、活性化に役立ちたいと思っています」

鍋「むむ・・・かなり勉強されておられる」
明「強敵なのは間違いないですが、なんか悪い気しませんね」

確かに、街にスタバができてにぎわいを取り戻せば、地域振興につながる。競合相手といっても、スタバに高知の喫茶の味は出せないし、逆もまたしかり。ここは喫茶文化振興のために良きライバルとして認める手もありそうだ。

ちなみに、スタバの店舗は全国に一つとして同じ仕様のものがないという。例えば潮江店ではあぞの店に少なかったソファの数を増やし、高知の海と空をイメージした青色を基調にしている。もし高知でも繁華街に出店すれば、また違ったスタバが楽しめるだろう。

で、最後に一番みんなが関心ありそうなことを聞いてみた。ぶっちゃけですが高知西武跡には出店されるんですか?

井上さんは「タイミングが合えば」とにやり。明言を避けた。最後まで手強い。今のところは、ようこそライバル、と言っておきましょう。でもね、高知の喫茶店は負けませんよ、きっと。お互い、頑張りましょう。

 

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【お店データ】
 スターバックスコーヒー潮江店
 高知市潮新町2-13-28
 088-805-0310
 営業時間
  月~木: 8:00~24:00
  金: 8:00~24:00
  土: 8:00~24:00
  日: 8:00~24:00
  祝日: 8:00~24:00
 定休日:不定休

われわれモニ探がこうして毎日、あほなことやってるのの親サイトは「とさあち」という高知の生活情報系サイトなわけなんですが、皆さまそちらの方も楽しんでいただけてますか?

特に高知が誇る街の文化、日曜市などの街路市を徹底特集した「いちの土佐」は堂々のメーンコンテンツ。お店ガイドや歴史、耳より情報など盛りだくさんです。ぜひ一度、遊びに来てくださいね。

明「意外と、高知におっても市のことは知らなかったりしますからね」
鍋「そうやなあ。取材するまで知らんことも多かったよ」
明「例えばどんな?」
鍋「タヌキ油売ってるお店あるやろ。あそこにあるタヌキの置物、あれ実はいつも南向いてるとか知らんかったしな」
明「ええーっ! ってそりゃ、お店が南向きやき当たり前でしょうが」
鍋「日曜市にアイスクリンはあるけど、あれ実は1×1じゃないしな」
明「それは・・・知らんかった・・・マジか・・・」

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「いちの土佐」を取材するために足かけ2年近く、日曜市や木曜市を歩き回ってネタ探し。スタッフ意外と頑張ってます。最近は日曜市に特設テントまで立てて取材しちゃう。

お店のおばちゃんたちに「あんたら、ようやるねー(どんだけヒマやねん)」とあきれられながらも、日曜日のたびに忙しいのです。

鍋「あそこで枝川のジャガイモ買って、あそこで山北のミカン買って、もう重いし大変です」
明「買い物かーい(棒読みツッコミ)」

そんだけ市に出てたらもう市の隅々まで知っている、かと思ったら、案外そうでもない。やっぱり盲点はあって、例えば日曜市には約600店が出店しているわけですが、あのおばちゃんたちはどこでご飯食べてるの?

明「お昼時はお弁当が配達されたりしてますね」
鍋「おれたちゃモニ探。市の皆さんは朝ご飯どうしてるのか気になるやろう。優香も『目覚ましゴハン♪』とか『朝9時まっでっの~~』と歌ってるように、あのCMはなんか込み上げるものがあるけど朝食は大事じゃグータンヌーボいつも見てます」
明「優香は別に関係ないし、最後のあたりは特に関係ないんじゃないかなあ」

関係はないけれど朝ご飯事情は気になる。家で食べてくるのでは、といっても早い人は午前2時3時に支度して、5時にはお店出してるんですよ。おなかも減ると思うんだけど、どうしているのか。

と思ったら、どうにかしているところがありました。日曜市に面した追手筋1丁目。市の店々の、その裏にひっそりと間口を開けるお店一つ。扉の前に「モーニング」とある。

これかと思って看板を見ると「家庭料理 しずか」「手作り餃子」・・・これって居酒屋っていうか小料理屋じゃないの?

しかしほかに開いている店は見当たらない。ここで引いてはモニ探のない名が廃る。えいっと思い切って入店してみたら、明るく「いらっしゃい」と穏和な声が迎えてくれた。店主の松家絵美子さんだ。

えーとここ、小料理屋さんですよね?生ビールのサーバーとかそこにありますね?

「はい、昨夜も午前1時まで開いてました。自慢は手作り餃子です」

ではモーニングください。

「はい、お待ちください」

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なかなか変なやりとりだが、松家さんは違和感なく料理を開始する。

ほどなく出てきたのは、トーストとサラダ、ゆで卵とコーヒーというモーニング基本の「4元素」。シンプルの極みにプラスして、ココのは「みそ汁」もついていた。

明「トーストにみそ汁!?とまゆをひそめる向きもあるでしょうけれども」
鍋「高知では当たり前です。むしろついてるとうれしい」

バターを塗ったトーストにみそ汁は合うのか、というのは好みもあるけれど、慣れると意外とナイスマッチングである。そういえばみそバターラーメンとかもあるしね。などと思いつつ、寒い季節ということもあり、さっそくみそ汁をいただく。

ンマーーーーイ!!

何の変哲もない、白菜のみそ汁なのに、この甘みとコクはなんだろう。きつい塩味や嫌な雑味がぜんぜんなく、白菜特有の青臭さもない。柔らかな合わせみその風味と白菜のみずみずしさが見事にマッチし、それを味の底からイリコだしの風味がしっかりと支えている。

旬の白菜だからこそのうまみが食欲をそそり、柔らかめに焼き上げられたトーストと、ぷりぷりの固ゆで卵もあっという間に完食してしまった。お見それしました。正直、小料理屋さんの片手間モーニングと思って油断してました。

「さすがに料理の本職は違いますね」と言うと、「それほどでもないけど、一応このかいわいで30年やってますから」と松家さんはにっこり。ははあ、参りました。でもこの、お店の内外にかかってる洋服は何ですか?

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鍋「店内のあちこちに婦人服が飾られ、バッグなんかもあり、ちゃんと値札もついてます」
明「小料理屋でモーニング出てブティック。どういうお店ですか」

松家さんによると、「市のおばちゃんたちの要望を取りそろえたらこうなった」という。

もともと、30年近く前から追手筋周辺でスナックとブティックをやっていた松家さん。6年前から心機一転、「しずか」を始めた。ほとんどカウンターだけのこぢんまりとしたお店は暖かい家庭料理が売りで、地道に商売を続けてきた。

ところが4年ほど前、ある市のおばちゃんと顔見知りに。おばちゃんは「この辺はモーニングを食べる喫茶がなくてね」とこぼした。確かにこの辺り、夜は繁華街だが、日曜の早朝から開いてる店は数少ない。

出店の支度でどうしても朝ご飯を食べそびれ、お弁当も作れないときもあるのだ。そこでおばちゃんたち、近くのホテルのカフェで朝ご飯を食べてたら、宿泊客を優先されて肩身の狭い思いをしているという。

「あんたくでモーニング出してや」と頼まれた松家さん、「分かった」とすぐに朝の営業を開始した。日曜日限定とはいえ11―3月は午前6時、なんと4―10月は午前5時開店である。

鍋「男前・・・は失礼ですね。これが土佐の『はちきん』やなあ」
明「夜も遅い仕事なのに、感動しました」

ごくシンプルなメニューは、おばちゃんたちの要望から。トーストが柔らかめなのもお年寄り向けにした結果だ。みそ汁も塩分控えめ、味薄め。それでもしっかりした味をと、ダシにイリコを使う。

みそ汁を出すことにしたのは「最近はコンビニもあるけど、ご飯はあったかいものを食べたいきね」との心遣い。具は季節によって変わるが、おばちゃんたちが野菜を持ってきてくれたりするとそれを必ず使う。「地のもの、旬のものやきね」。そりゃ、うまいはずだ。

洋服もおばちゃんたちの声によるもの。ブティックをやっていたことから、商品が手に入る。「おばちゃんたちは『目の保養やね』って。新作が出たらちゃんと見てくれるし、楽しんでくれてます」。忙しいおばちゃんたちの、憩いの場になっている。

「いつも常連さんが来てくれて、朝はにぎやかでね」と松家さん。限定15食程度だが、ランチも出す。「夜は日曜日以外、毎日開けてます。休みはないですね」と苦笑するが、とても楽しそうだ。

「おばちゃんたちはいろんなお客さんと話すから、話題が豊富。私も楽しんでるし、この雰囲気で続けたいですね」。日曜市の元気なおばちゃんたちを、元気づける小さなお店はあたたかく、得難い交流サロンだった。

鍋「取材のとき、これから通うか」
明「いいですねえ」
鍋「わし、ビールと手作り餃子と、あとそこの肉ジャガください」
明「夜の方かーい(もういろいろ嫌だけど一応棒読みツッコミ)」


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【お店データ】
 家庭料理しずか
 高知市追手筋1-8-18
 088-825-0088
 営業時間 (夏)5時(冬)6時~17時 日曜日限定営業
※夜はお総菜系が充実した小料理屋さんで、営業時間17~1時(不定休)。1組限定の小座敷もあり、好評です♪

さて、ことしもあと2週間。お忙しい毎日、ちょっと癒やしの時間を持ってみませんか、とばかりにいろいろありつつモニ探、始まってるわけですが、お楽しみいただけているでしょうか。

モニ明「正直、読者さんがついてきてくれてるか心配です」

ならば普通に書けばいいと思うんだけど、どうしても素晴らしいモーニングを見つけたときは心躍る血肉が沸く。読み苦しい点は平にお詫び申し上げます。どうか高知のモーニング及び喫茶店が全世界的に有名になるまで、今しばらくお付き合い下さいませ。

明「しかし、この調子では取材拒否というお店も出てくるかもしれませんな」

いやあ、そこは高知の喫茶文化のために、というお題目を前面に立ててやね。お店を紹介します、とか悪いようにはしませんから、とか因果を含めて、うまいことどげんかせんといかんでしょうが。

明「何でもいいけど宮崎になってます。ここは高知です高知」

要するにおいしかったり、奇跡的なメニューがあったり、ほっとするふれ合いを感じたりそんな素敵なお店だったらどこまでも行って取材します。というかなんぼでも行きたい。うまいもん食いたい。

明「そんな意地汚いモチベーションで、モニ探は運営されています」

意地汚いて。もうちょっとこう、表現的にどげんかせんですかね?この宮崎弁合ってますかね?それはいいとして、取材を進めるうちに分かってきたことがあります。というか、当初からある程度分かっていたことなんですが、高知の喫茶店は「小さいお店が多い」。

明「まあ、人口規模から言っても・・・」

高知県の人口は約80万人。全県合わせても政令指定都市になれない。そんな県にこれだけ多くの喫茶店があるのはすごいことだけど、だからこそ一軒当たりの収益は減るからどうしても仕方ないです。

で、一軒当たりの規模も小さくなる。すると、お客さんをさばけるキャパが小さくなるのですね。稼ぎたいのはやまやまだが、人手もないし対応できない。だからあんまり取材されたくない。そっとしておいてほしい。そんな感じで取材を断られることも多いんですね。

明「変なこと書かれるから、ではないんですね」

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まあ今後そんなお店も出てくるかもしらん。あと、店主の方が目立つのが嫌いで、という理由もあったりするし、取材に行っても断られることがままあります。

写真は某所にある喫茶店の、ど迫力!スパゲッティ。中毒性があるうまさなんですが、残念ながら取材を断られてしまいました。

明「名店なんですけどね・・・確かにいまだにメディアで見たことがなかったのはそういうわけですか」

無念です。時々こういうことがあるとやっぱり凹むんですが、それでも立ち止まってはいられない。行きたい、行かねばならぬ喫茶店は山ほどある。モニ探団長ともなればそんな情報が星の数ほど入ってくる。

鍋「山の木の数、星の~数~♪」
明「『19の春』という古い歌ですよ、皆さん。ツッコミは不要ですよー。で、すごいですね、さすが団長」
鍋「嘘です。そんなに情報入ってきません」
明「あー嘘なんですかー。それは困ったねー、よしよし、っておいこらおっさん」

情報はあるといえばないし、ないといえばある。自分で「足を使って」探せば、いい店に当たったときの満足感は強いが、どうにもハズレが続いてめっちゃ凹むこともある。当たり外れの判定はクチコミ情報が一番で、噂になるような店の情報はやっぱり信頼性が高い。

鍋「まあぶっちゃけハズレの店引くと1日は立ち直れんからね。ひざ抱いてめそめそしてる」
明「そんなにショックですか?」

金額の問題ちゃうぞ。たとえ数百円でも精神的ショックはでかい。楽しみにしていた食事が台無しになり、その上お金まで払わないかん。「見る目がなかった」自分への失望も大きいし、お小遣いも減る。仕事上でもネタにならなかった無念さと、無駄遣いが悔しい。あの金で何が買えたか。

明「思いっきりお金のことばっかり言うてるやないですか」
鍋「ああ、あんな店のために万札崩してしもうたとか、ギザ10(縁にギザギザ付きの珍しい10円玉)使うてしもた、とかな」
明「この人あほだなあ、本当にあほだなあ」

で、そんな憂き目に遭わないためにも情報収集は肝心である。

鍋「そこで、皆さんの出番です」
明「信頼性の高い情報は、やっぱり皆さんのクチコミが頼り」

モーニング探検隊と高知喫茶天国では、皆さまのクチコミ情報を募集しております。どんな情報でもいい、詳細でなくてもいいから、「○○っていう店の雰囲気が良かったよ」とか「△△のモーニングがいける」とか、ぜひ情報をお寄せ下さい。

モーニングだけでなく、ランチも大歓迎。さらに、お店からの自薦もウェルカムです。とりあえず食べに行きます。自慢のモーニングやランチを味あわせてください。

コメントは「お客様、何名様ですか? ~喫茶交流広場~」か、モニ探各記事のコメント欄からお願いします。雑談や質問も大歓迎ですので、どうかお気軽にお越しください!

鍋「どんどん情報交換して喫茶楽しんで。喫茶探検ツアーとかもやりたいねえ」
明「クチコミランキングをやるとか、喫茶データベースを作るとか、夢は広がります」
鍋「そんで究極のお気に入りの喫茶を見つけて、常連になってやね」
明「憧れですね、『いつもの』でモーニングが出てくるの」
鍋「そんで一日中入り浸って、3食ぜんぶそこで食べて、それがまたウマーーーイの。あとはスポーツ新聞読んで昼寝してマンガ読んで寝て」
明「もう自分で喫茶店開いてください」

夢というか妄想だけど、そこに一歩でも近づくために今後もどしどし高知の喫茶を紹介していきます。応援よろしくお願いします <(_ _)>

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チーズトーストは好きですか?

モニ鍋「はい、私はチーズトーストが好きです。あれは最も素晴らしい発明の一つです」

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乳製品独特の濃厚なコク、絶妙な塩気、ねっとり柔らかな舌触りがパリサクのトーストと極上のマッチング。こたえられないですね。ハムとの相性も素晴らしい。

マーマレードトーストはどうでしょう?

鍋「はい、私はマーマレードトーストも大好きです。それはとてもおいしいので、私はしばしば2枚かそれ以上食べることがあります」
モニ明「何でそんなに直訳風なんですか」

気を取り直して。トーストに何を付けて(のっけて)食べるかというのは永遠のテーマである。バターに始まり甘いものはジャム、ハチミツ、グラニュー糖、チョコレートスプレッド、ピーナッツバター、メープルシロップ。食事系ならハム、ツナマヨ、ベーコンエッグ、目玉焼き、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、オムレツ・・・

鍋「卵の食べ過ぎやないかなあ」

ほっといてください。中にはノリの佃煮を付ける人もいるし、ごまペーストなどという世紀の発明もある。「ご飯のおかず」に匹敵するほどの世界の広がりがある、それがトーストの付け合わせなのだ。

その中でチーズとマーマレードは、何というか少々地味である。それぞれハムとジャムの陰に隠れてあまり脚光は浴びないが、いぶし銀のうまさをたまに見せつけて玄人をうならせるタイプ。野球で言えば2番ライト平野という感じ。

鍋「西武ライオンズか・・・古いなあ・・・」

だから少しほっといてください。強かったんだからあの時のライオンズ。それはいいとして、チーズとマーマレードは永遠の2番打者である。実力を十分に持ちながらメーンを張れない不遇さも玄人心を誘う。プロレスラーで言えば大仁田厚に対する渕正信という感じ。

鍋「・・・せめて田上明とかにせえよ・・・古すぎる・・・」
明「がっ。分かってないなあ元世界ジュニアヘビー級チャンプのすごさを。あの小林邦昭に勝ったんですよ」
鍋「知らんがな。ほら、そろそろ読者さんが引いとる」

話を元に戻します(何事もなかったかのように)。チーズとマーマレードはそんな感じを持っている。しかしもしそれが合体したとしたらあなたどうしますか。

鍋「・・・話がよく見えないんだが」
明「だからですね。トーストにチーズ乗せて焼いて」
鍋「うんうん」
明「その上にマーマレード塗っちゃう」
鍋「ええええええええええ」

私もそれを食べるまでは想像もつかなかったが、本当に驚くべき美味というのはあるところにはあるものです。やってきたのは高知市西塚ノ原の喫茶店「珈風帆」。住宅街に近い、落ち着いた雰囲気のこぢんまりとした店だ。

少しだけ光量を抑えた店内は柔らかい雰囲気で、何しろ、豊富なメニューに驚く。

モーニングからしてトースト、タマゴトースト、ハムトーストと豊富で、クロワッサンやオムレツ、和食まである。ランチはスパゲティーや丼物、カレーとレストラン並み。もうどれから食べようかと迷う。

鍋「板さん、こう右からずらっと握ってくんな」
明「そのベタなボケにどう返事すればいいんだよ僕はよ」

しかし迷うことはなかったのだった。ここは伝説のチーズマーマレードトーストしかあり得ない。何しろ、これを食べに南国市などから通う人もいるというほど隠れた人気メニューである。

鍋「隠れたままが良かったりしてなあ」
明「やめて食べる前にそんなこと言うのは」

実はドキドキものであった。だって、チーズとマーマレードですよ。ミカンにバター塗らないし、たこ焼きにジャム掛けないし、酢豚にパイナポー入れないでしょ。いや最後のは普通に入ってるけどなんか納得いかないでしょ。どんな味になるんだろ。想像がつかない。どきどき。

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ほどなく、それは運ばれてきた。ちょっと厚めのトーストが見た目でも分かる、かりっと中はふわっと焼き上げられ、その上に少しとろけたチーズが載っている。すごくおいしそうです。しかしその上にマーマレードが「何か問題でも?」と言いたげにごく普通に塗ってある。すごく見たことがない光景です。

考えられないミスマッチのような光景だけど、不思議と匂いや雰囲気がそうではなかった。ごく当たり前に「うまそう」と感じ、ごく普通に口に運ぶ。

明「うううううー」
鍋「どうした?ええか、ええのんか?」
明「ウウウウウウマーーーー! うまーーーーーーい!!」
鍋「ええんかい」

いや驚いた。本当に美味。少ししょっぱいチーズとバターと、コク甘いマーマレードが絶妙のマッチング。甘いだけのジャムではこうはいかない。わずかな果皮の苦みと柑橘系特有の香りが、ややもすると鈍重な乳製品の味の脇を引き締めているのだろう。

少なくとも、チーズとマーマレードという響きから想像されるようなげてものの味では一切ない。むしろ上品な味わいで、ひと口ごとにじょわっ(チーズとマーマレードの柔らかな食感)ざくっ(焼きたてトーストの香ばしさ)ふんわーり(すべてが渾然一体となった高貴な風味)。口中に至福が踊る。あああ幸せ。

明「うまっ、うまっ」(夢中)
鍋「ええのんか・・・ええのう」

あっという間に食べてしまいました。満足しつつ興奮しつつ、マスターの大畠政幸さんにお話をうかがう。お店は以前、高知市一宮にあり、9年前に現地へ移転した。「一宮のときのお客さんが、今でも来てくれるんですよ」とうれしそうにほほえむ。

逸品、チーズマーマレードトーストは奥さんの美和子さんが作り出した。「チーズが好きなんです。カレーにもチーズを入れるぐらい」。ある日、大好きなチーズトーストに何の気なしにマーマレードを塗り、そのおいしさに目覚めたという。

明「普通はそんなことしないと思います」
鍋「天啓っていうのかな?お見事です」

自信を持ってメニューに入れたが、当初は誰も頼む人がいない。しかし、たまに好奇心から(半笑いで)注文した人はほとんどみんな、食べてびっくり。「なんじゃこりゃー!」「うまー!」と騒ぐ。徐々に「マニアックな」(美和子さん)人気が出始め、いつしか定番メニューへとなっていった。

しかしこの奇跡のチーズマーマレードトーストは、残念ながら珈風帆の看板メニューとまでは言えない。その理由は、他のメニューが充実しすぎているからだ。

モーニングだけでも10種類近くあるのに、ランチものときたら4~5品が並ぶ洋風懐石風の日替わりを始め、シーフードスパゲッティ、ハーブチキンイタリアンサラダなど多種多様。手作りのメニューはきれいな写真が豊富で、ちょっと高級なレストランに来たような気分になる。

この特製オムライスとか、実にうまそうですねえ。盛りつけにも美意識を感じる。大畠さんは少しはにかんで「料理は全部、自己流です。スパゲッティを炒めたり、決して王道ではないですが、気楽な味の楽しみ方もあると思います」。

デザートは美和子さんが担当。黒ゴマアイスやミルク金時など、和風系が充実している。「せっかく食べてくれるなら、満足してほしい。残さず全部、楽しんでください」と笑った二人が送り出すメニューはいずれも細部まで心を尽くした味付けで、要するに、うまくて、楽しい。

二人三脚で切り回すお店を、最近は息子さんも手伝うようになったという。一家の暖かさが、そのままにじみ出すようなお店はあたたかく、居心地がいい。雰囲気のいい内装と小さなBGMに耳を傾けていると、すぐに柔らかな時間がやってくる。願わくば、奇跡のミスマッチを楽しむだけでなく、このお店そのものを楽しむ心の余裕を持っていただきたい。


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【お店データ】
 珈風帆(かふうほ)  http://www.kcb-net.ne.jp/kafuufo/
 高知市西塚ノ原107-15
 088-844-9863
 営業時間8~19時半 火曜定休
※自家製ドレッシング(180ml、380円)は和風とイタリアンがあり、絶品です

朝からビーフシチュー。

モニ明「のっけから一体、何を」
モニ鍋「景気えいやろうが」
明「良すぎて鼻血が出そうです」

ビーフシチューってすごいご馳走感満載だ。シチューだけでも洋食って感じでなに今日誰かの誕生日?何かいいことあった?って感じなのに、そこへビーフ。牛<ぎゅう>。発音注意リピートアフタミー。牛<ぎゅう>。牛なんてもう盆と正月にしか食べられない。今日何かの記念日って言うか生涯に数えるぐらいしかないスペシャルデーっていうか、涙なくしては食べr

明「・・・いつの世代の日本人ですか」

思いっきり歳がバレそうであるが、とりあえず「牛肉はご馳走」世代である。その憧れのビーフシチューがモーニングで食べられる店があるという。それだけじゃない、その店のモーニングのメニューは20種類。朝から何食べようか迷う。もうパラダイス。これは取材に行くしかない。

明「じゃ、僕行ってきます」
鍋「ええええええ」

     ◆

実は私、モニ明も牛肉はご馳走略して牛ゴチ世代。そりゃ団長に任せてる場合じゃない。足取りも軽く取材に向かう。北環状線から少し外れた高知市一ツ橋町の静かな住宅街、ひっそりとたたずむ洋館風の建物はカフェレスト・エヴァンス。

平日の午前中というのに駐車場の空きは少ない。木の壁、床材がふんだんに使われた落ち着きがある店内も大勢が談笑中で、熱気すら感じる。案内されてテーブルに着くと、もう「高知の喫茶」ならではの雰囲気が満ちている。

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明「ほらね、このメニュー立てと紙ナプキン立て」
鍋「何がやねん・・・おお、昔のデザインのコカコーラ!懐かしい!」

しょせんノベルティグッズなのに、長年、きれいに使い込まれた様子が、店への愛情と気合を物語る。シュガーポットの砂糖にはあめ色のザラメの粒が混ぜられ、塩の容器には湿気除けのコーヒー豆が入れられている。現代に息づくリアルなノスタルジー。ここは、正真正銘、正統派の高知の喫茶だ。

喜びに打ち震えながらメニューをひもとく。以下、詳述します。

モーニングメニュー AM8:00~11:00
 ・ALLサラダ・スープ・ドリンク付きです。
 ・ミニグラタン付きは¥100upです。
 ・ドリンクにより差額分がupします。
 ・ドリンクはドリンクメニューよりどうぞ。

<トーストモーニング>
・ジャムトースト
・シナモントースト
・ハニートースト
・チョコレート生トースト(生クリーム+チョコレート)
・ハニー生トースト(生クリーム+ハチミツ)
・シナモン生トースト(生クリーム+シナモン)
・ハムチーズトースト
・タマゴチーズトースト
・ツナチーズトースト

<ホットサンドモーニング>
・タマゴホットサンド
・ツナホットサンド
・ハムホットサンド

<オリジナルモーニング>
・ビーフカレーモーニング
・ビーフシチューモーニング(パン付き)
・クリームシチューモーニング(パン付き)
・ミックスサンドモーニング
・ホットケーキモーニング
・和風リゾットモーニング
・グラタンモーニング(パン付き)
・ミートソーススパゲッティモーニング(パン付き)

んもう目もくらむほどの豊富なメニューである。何度数えても手が震えて数を把握できない。いーち、にーい、さーん、うおお生クリームチョコって何だコレすげーうまそう。シナモン生クリームもうっとり。朝はやっぱり甘いものだよな。飲み物は何にしよう、やっぱミックスジュースかなあ。あれ、えと、どこまで数えたっけ?

鍋「落ち着かんか」

もう落語「時そば」の世界なんだけど、やっと落ち着いて数えました。ちょうど20種類。

鍋「だから最初からそう言ってるやないか」

取り乱してごめんなさい。しかし、食欲がかくも人を迷わせるという良い見本ではあります。落ち着いてさあ、メニューを注文。この絢爛豪華なメニューの中でも、やはり一際目を引くのは、ビーフシチューモーニn

鍋「わし、和風リゾットモーニングにするわ」
明「台無しやな、おっさん」
鍋「だってうまそうやん・・・」

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ここは駄々をこねるかわいいおっさんを無視して、初志貫徹ビーフシチューモーニングを注文。ほどなく運ばれてきたそれは、少し小さめのココット皿に盛られたシチューを中心に三角厚切りのトースト、サラダ、スープとやはり正統派の高知風モーニングだった。

自家製のシチューはよく煮込まれ、小さいながらも食べ応えがあるビーフはたっぷりジューシィ。かみ締めるたび、うま味が口の中にたっぷり広がる。うわ、単純にうまい。少し量が少ないのが残念だけど、このメニューを選ぶ価値はある。

厚切りのトーストもさくさくもっちり、サラダはぴんしゃんと元気で甘みを感じる。シチューがなくても、モーニングの基本セットの総合点は高い。

明「このな、トーストを少しちぎってな、そんで残ったシチューをこそぎ取ってな、あああうまーーー」
鍋「・・・やっぱりわしが行けば良かった・・・」

団長をさんざんうらやましがらせつつ完食。すっかり満足して、店長の山本真敬さんにお話をうかがう。お店はことしで開店20周年とのことで、落ち着いた雰囲気も納得。

メニューがとにかく充実してますが・・・

「言われてみれば確かに。これ、1年に1回、見直してるんですよ。人気があるのをプッシュしたり、新作を入れたり」

お客さんはどんな方が多いですか?

「常連さん、多いですね。女性の一人客も多い。みんなでわいわいやるより、じっくり料理と時間を楽しんでくれる人が多いという感じ。思い思いにくつろいでくれれば、うれしいですね」

落ち着ける空気感を提供し続けて20年。いつも静かなジャズが流れるこの店に来れば、日ごろの喧噪を忘れて自分だけの時間が持てる。とても、ぜいたくな喫茶店だ。

明「満足の取材でした」
鍋「わし、全メニュー制覇するまで通うわ」
明「・・・言い忘れてましたが、ドリンクメニューは50種類ぐらいあります」
鍋「参りました」

 

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【お店データ】
 エヴァンス
 高知市一ツ橋町2-60-1
 088-872-1603
 営業時間8~22時 無休
※ランチ、ディナーメニューも豊富

さて、高知の喫茶店を徹底リポートすることに話は決まった。次はその方針である。

モニ鍋「どっから何やったらいいかしら」
モニ明「方針というか、初っぱなからつまづいてますね」

毎日の仕事に疲弊し、酷使されきった頭脳からは良いアイデアも出てこず、いや、そもそも思考能力すらない。何を考えるのもおっくうで、動くことすら大儀だ。こういう時、高知県人はどうするかというと、喫茶店へ行くのである。

鍋「決してサボりたいだけとちゃうぞ」
明「まあこの場合、どこかの店に行けば、それが取材になるわけですからね」
鍋「あ、カメラとノート忘れた」
明「今すぐ取りに戻れおっさん」

まずどこの店に行くかというと、これは基準点が望ましい。今後の指標となる、スタンダードなお店。これこそが高知の喫茶店であり高知のモーニングだというお店。そこを出発点にして、今後の方針、我々の行く末を決定しよう。

鍋「どこがいいかなあ」
明「街のど真ん中で、ちゃんとおいしくて、歴史のあるお店ですね」
鍋「あと2時間座ってても追い出されなくて、スポーツ新聞が各種そろってて、お茶のお代わりにも嫌な顔をせず、漫画とかもたくさん置いてある店がいいなー」
明「やっぱりサボる気満々やないですか」

街のど真ん中、基本、おいしい。じゃあ、実はあそこしかないのである。我々は帯屋町に足を向けた。

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帯屋町1丁目、アーケードの中。大きく言うと大橋通と中央公園のちょうど真ん中辺り、小さく言うとアベニュービルと旧ダイエー店舗跡のちょうど真ん中辺り。はっきり言うと中津商店の西隣。もうこれ以上ない「お街」のど真ん中にその店はある。

「クメヤ」。開店25年を迎える老舗。早朝から年中いつでも開店している。何たってまず、店頭のショーケースにこの、懐かしい食品サンプル(感涙)!

メニューもコーヒーからクリームソーダ、カレーライスまで豊富。ランチメニューやデザートまで充実している。他県ではコレをレストランとか軽食・レスト・スナックとか言うのかもしれないが、高知ではコレこそが「喫茶」なのだ。

昔ながらの落ち着いた雰囲気を持った店内に入り、さっそくモーニングを注文する。

明「これは・・・子どものころ見た、あのモーニング・・・!」

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厚切りのトースト、サラダ、ゆで卵、そしてコーヒー。モーニングの基本中の基本。何一つ欠けてもモーニングが成立しない、最重要の構成要素がすべてそこにある。

最小限の構成だが、むしろ豊かに感じるぐらいだ。また、この木のプレートが泣かせる。コーヒーカップの置き場がくぼんで指定されているような、モーニング専用のプレート。

昔、これが欲しくて、どこかに売ってないかと親を困らせたことがあったっけ。

鍋「家でモーニング気分を味わいたかったんじゃ」
明「親御さんも大変だったでしょうねえ」

プレートも含め、これをそのまま「モーニング」のテンプレートとしてスミソニアン博物館とかまとめwikiに保存してもいいぐらいの、完璧なメニュー。我々の出発点はここにあったようだ。

厚切りトーストは期待通り外カリカリ、中ふんわりでバターが甘く、香ばしい香り。卵はモーニングの基本通り固ゆで。サラダはしゃきしゃき、季節の果物が彩る。デザートのバナナもうれしい。そしてもちろん、コーヒーはあくまで薫り高い、本物のドリップコーヒー。完璧だ。

最近は豪華なメニューのモーニングも多いが、やはり基本は偉大。たったこれだけの内容で、もうこれ以上何もいらないと深く満足してしまう。

鍋「じゃあ今日のスポニチは・・・っと」
明「満足しとらんで仕事しましょうよ」

お店のマスター、久米統庸(むねのぶ)さんにお話を聞く。25年前、それ以前は洋装店を営んでいた先代が亡くなり、それを機に喫茶店を開店したという。

モーニングのメニューはそれ以来ほとんど変わらず。ただ毎日、この日がレーズンパンであったようにパンの種類を変えたり、ポテトサラダにしたりと少しずつ変化を付けているという。

野菜や果物も季節の品をと、日曜市や木曜市で目利きをして仕入れている。「常連さんも多いし、飽きないように。やっぱりお客さんの満足が一番だからね」

カレー、ピラフ、うどん、生姜焼きなど豊富さが人気のランチメニューは「高知は人口が少ないから、専門店は難しいでしょう」と、街なかの「食」を引き受ける。

でもやっぱり、基本はコーヒー。厳選された豆を使い、一杯ずつ手で淹(い)れる。「えい材料を使えば、腕はカバーできる」と笑顔。

店内は奥さんの通(みち)さんが選んだ観葉植物がいっぱい。人通りが減ったとはいえ、雑踏が続く帯屋町のアーケードが目の前なのに、店内は静かであたたかく、コーヒーの香りが漂う。あわただしく行き交う人を眺めながら、心静かにコーヒーをすする。まさに都会のオアシスだ。

「もう体力もないし、いつまで続くか」と笑う久米さんは69歳。そう言いながら通さんと二人三脚で、今日も店を開け続ける。これからもずっと。

明「感動しました」
鍋「これぞ、高知の喫茶店」
明「こういうお店を一つでも多く紹介しましょう」
鍋「朝青龍が出稽古門前払いかー」
明「スポーツ新聞読んでくつろいでる場合ですか!!」

あまりの居心地の良さに、つい仕事を忘れてしまった。日々の仕事に疲れ、人間関係に疲れ、帯屋町での買い物に疲れ・・・いろんなことに疲れた人は、この店で基本を確認することをオススメする。そうしたら、また前に進めるだろう。

 

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【お店データ】
 クメヤ
 高知市帯屋町1丁目13-19
 088-872-3315
 営業時間7~18時、不定休
※モーニング380円(~11時半まで)

我々がそれに気付いたのは、何の変哲もないある日の昼休みであった。時計の針が12時を指し、仕事に真っ先に句読点を付けた団長モニ鍋が大きく伸びをする。

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鍋「さあ、昼ご飯食べに行こうかー」
明「何食べますかね」
鍋「Sのカレーか、Rのパスタか・・・」
明「Dの和風定食も捨てがたい」

百花繚乱のメニューに心躍る。勤め人の楽しみはやっぱり昼ご飯。さまざまな美味が私たちを待っている。今すぐ行くからそこで待ってろよ。

鍋「しかし、カレーならBのカレーバイキングもいける」
明「あの中央公園近くの店のカレーもうまいっす」
鍋「会社の近くならEのカレーも・・・」

ええから早く決めんか。昼休みが終わってしまうではないか。それにしても、この周辺にはカレー屋さんが多いなあ。

明「そうですねえ。よく考えたら僕、カレーとかラーメンばっかり食べゆうな。ほっといたら」
鍋「専門店が多いから仕方がないよ」

そこまで言って気がついた。専門店違うやん。全部喫茶店やん。

喫茶店でカレーが普通に出て、しかもそれが人気メニューで、昼時はスパイシーなカレーの香りと馥郁たるコーヒーの香りが複雑に絡み合う、といった情景は、少なくとも高知県民にはとても自然なことである。実際、我々もそのことについて一度も疑問には思わなかった。

しかしながらこれは、全国的に見たらかなり奇異なことではないかだろうか。だって喫茶店である。普通はコーヒーとか紅茶とか、飲料がメーンで、そこでわざわざカレーを食べようとは考えにくい。

カレーだけの問題ではない。実は驚くことに、この会話中に出てきた店はすべて、「喫茶店」である。パスタがうまいあの店も、本格中華定食を出すこの店も、店の名前には「喫茶」とか「カフェレスト」とか必ずついていて、ちゃんと食後にはコーヒーを出す。それがまた、本格的なドリップコーヒーでもちろんうまいのが普通だ。

客もその辺は分かっていて、ご飯を食べに行くときに「喫茶行こー」と話したりする。つまり高知県の喫茶店のほとんどは、コーヒーその他飲料の専門店ではない。モーニングセットに始まり、パスタとかランチとかカレーとかチャーハンとか和風御膳とか、業態は間違いなくレストランなんだけど、それでも店の方は頑強に「うちは喫茶です」と言い張る。しかもちゃんと食後にはコーヒーを出す。

明「食後のコーヒーにやたらこだわりますな」
鍋「だって食後に頼んだら150円やん安いやん」

確かにそういうサービスをしているお店は多い。喫茶店といえばコーヒーが看板であるはずなのに、これではまるでおまけ、の扱いだ。そして、それに誰もさして文句を言う風でもない。

とにかく、高知の喫茶には何かある。実情はレストランや食堂や居酒屋なのに、絶対に喫茶店と言い張らなければならない謎が。暗くて深いコーヒーの中に沈むミッシング・リンクが。あのふかふかすぎるソファや、注文もしてないのに最後に出てくるお茶や、スポーツ新聞読み放題の陰に隠れる秘密が。

鍋「俺には分かる。だって毎日1回は喫茶行って、週5回はモーニング食べてるし」
明「もう自分で喫茶店開いた方が早いのと違いますか」
鍋「おしぼりの匂いで店が分かるし」
明「おっさん言い過ぎや、それは」

とにかく、この謎は解明しなければならない。しかし、我々は喫茶を毎日のように利用しているくせに、喫茶について余りにも無知である。

鍋「あの食後のお茶を出す湯飲みな、あんな小さい湯飲みって普通の家にないやん。一体どこで売りゆうのか」
明「またえらいちっちゃいところに目を着けましたなあ」

噂には午前4時半から営業していたり、夜は居酒屋になったり、うな重が食べられたりする喫茶店もあるようだ。そういうの喫茶店って呼んでいいのか。でもそれらの店は多くの人に愛されている。それこそが高知の喫茶店なのである。

鍋「よし、調査を始めよう。とりあえず、喫茶店といえばモーニング。我々は探検隊を結成する。高知の喫茶という喫茶に行って、どんな店かレポするんじゃ。俺が団長、君がリーダー」
明「・・・チャンバラトリオ?」

ともあれ、こうしてモーニング探検隊は華々しくスタートしたのである。と、その前に、喫茶店を調査する者として。今日どの喫茶店で何を食べるか決めなくちゃ。

鍋「・・・やっぱ、うどんでも食べるか」
明「台無しですがな」

 

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