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おせちもいいけど・・・【高知市・珈琲館「爽」】
すっかり松も取れて、新しい1年が始まっております。年末年始の疲れはどうですか。お雑煮やおせちも飽きるほど食べましたか。
モニ明「私は年明けから大風邪引いてさんざんでした」
モニ鍋「いつまでたっても仕事に出てこんかったなあ」
明「ただの風邪かと思ったら、のどと鼻の奥に菌が入って炎症がひどくて」
鍋「耳も、なんか聞こえ方が変とか言ってなかった?」
明「病院行ったら風邪の治療じゃなくて、鼻から内診カメラ入れられたり、突発性難聴を疑われて無音室で聞こえ方のテストしたりしてね」
鍋「歌姫も大変やけど頑張ってほしいですな」
明「なんか紹介状持たされて病院はしごして、気が付いたら睡眠時無呼吸症候群の診察を受けていました」
鍋「もうぜんぜん風邪関係ないやん」
そんな変な人は放っておいてですね、正月明けといえばやっぱり、おせちも飽きたでしょう。そこで、おせちもいいけどカレーもね。というのは某食品会社によるイメージ戦略だと思いますが、確かに昔ながらの和風味一辺倒の日々が続くと、スパイシーかつ濃い味のカレーというのは非常においしく感じる。
このCMが訴えたのは「お正月でも好きなものを食べていいんだ」、というメッセージだと思うわけです。それはお正月は昔ながらのおせちを食べるべし、という伝統に縛られた日本人に対する強烈なアンチテーゼであり、みんなで同じものを食べる=多様な価値観を認めない旧来の風習に風穴を開ける斬新な提案であり、近代個人主義の新たな発露でもあるわけです。
明「ほんまかいな」
鍋「まあ、思いつきで言うとるけどな」
しかし「おせちもいいけど、カレーもね」というキャッチフレーズが大きな威力を持っていたのは事実です。その証拠に、ほとんどの日本人があのフレーズを知っているのではないでしょうか。
鍋「最初はキャンディーズがCM出てたがよ」
明「それはあんまり覚えてないけど、最近までやってたような印象もありますね」
あのCMが登場した70年代後半以降、日本の正月料理が大きく変わっていった。今でこそ、お正月には「うちは焼き肉」「うちは鍋料理」と各家庭が多様な楽しみ方をしていますが、その源流というか、あのキャッチフレーズが日本人の価値観を大きく揺り動かしたのではないかと思っております。
鍋「というわけで、正月明けはカレーや」
明「個人的にはラーメンとか恋しくなりますが・・・」
鍋「ええい問答無用。カレー食べようカレー。しかも喫茶店で」
喫茶店とカレーというのは、意外と相性がいい。日本各地でも、カレーの名店の中には喫茶店が比較的多く見受けられます。
明「コーヒーの香りに、スパイシーなカレーなら負けないからでしょうか」
鍋「カレー食べた後のコーヒーがまたうまいよな」
高知でも、カレーを出す喫茶店は多い。もちろんお手軽フードメニューの代表という側面もあるからだが、しかしでは、おいしいカレーを出す喫茶店はどこ? 我々が持つ第一の回答は、ここです。
◇
電車通り、本町のど真ん中。どれくらいど真ん中かというと、電停で言えば「公園通り」の真ん前であり、電車通りを挟んで新阪急ホテルの向かい側。新宿で言えばアルタ前級のど真ん中度。そこにこじんまりと、静かなたたずまいの雰囲気ある喫茶店がある。「爽」はことしで21年目を迎えた、熱烈ファンが多い店だ。
電車通りに面し、周辺はビル街。街なかの喧噪が、一歩店に入るとうそのように静かになる。木をふんだんに使ったインテリアの落ち着いた雰囲気と、店内に流れる和やかな空気が、森の中の隠れ家に来たような錯覚を起こさせる。
鍋「カウンターは見事な一枚板のヒノキ。振り子時計は大正時代のアンティークで、この時計の音を聞きに来る人もいるそうです」
明「なんか、すごくリラックスできますねえ」
とるものもとりあえず、こちらの看板、ビーフカレーセットをいただく。ビーフカレー、ポテトサラダ、ドリンク。カレーは大きめの土佐赤牛のブロック肉がゴロゴロ。辛すぎず甘すぎず、舌先に少し感じる酸味とのバランスが素晴らしい。プリっとした食感をみずみずしく保つタマネギがアクセントになって、気付けばいつもすぐに完食してしまう。
鍋「よく来るけど、食後も全然胃にもたれる感じがせんのよね」
明「おっさんはカレーが胃にもたれる時もありますからね」
ほっといて。でも確かにその通りで、特に欧風本格的なカレーは脂っこくて、たくさん食べるとつらい時も多い。でもここのカレーはぜんぜん大丈夫。実に爽やかで、しかし本格派以上の深くまろやかなコクがある。魔法のようなカレーだ。
またこのポテトサラダがうまいのよ。小皿にちょっとうずたかく盛られ、新鮮なポテトに交じるセロリとコショウの風味が食欲をそそる。カレー2口、ポテサラちょっと1口ぐらいの割合でむっしゃむっしゃと食べまくり、本当にすぐ完食。深い満足感。ぷはー。
明「ああカレー食べたい。負け惜しみを言うと、僕はセロリ苦手なのが残念です」
鍋「またこの、食後のコーヒーがな(聞いてない)」
このお店はカレーで名高いけど、本当は炭焼き一本の硬派な本格コーヒー店なのです。特に自慢の「ブレンド」は、これでもかという深煎り。真っ黒に近いそれは、しかし決して焦げ臭くなどなく、どこまでも深みのある香りに満ちている。強い苦みの底に驚くほどまろやかな甘みを感じ、口中で見事なハーモニーが奏でられるのです。
鍋「これぞコーヒー。ちょっとだけ砂糖とミルク入れると、またおいしい」
明「最近流行のエスプレッソとかも深煎りですけど、ここのブレンドは一本筋が通った硬派ですね」
一方「アメリカン」は一般的な焙煎具合で、女性らに人気。好みで選べますが、どちらも深い味わいで人気が高い。
店主の水津昭枝さんにお話を聞く。いつもお昼ご飯、お世話になってます。
「皆さんのおかげでやってこれています」
お互いに深く頭を下げて取材スタート。水津さんの醸し出す和やかさにひかれ、通うお客さんも多いに違いない。お客さんが出入りするときは必ず丁寧にあいさつしています。
この4月で丸21年を迎える「爽」は当初、炭焼きコーヒー一本のお店だったという。主婦だった水津さんがお店を始めた動機が面白い。
「当時は若い人向けのお店が多くてね。おばさんが気軽に入れるお店が欲しくて、自分でやってみようと思ったんです」
大きな音の音楽、定食などの喫茶店らしからぬメニュー、にぎやかな店内。そういった魅力も確かにあるが、「素人だった」水津さんは「どうせやるなら、ほかにないお店をやりたかった」という。
大好きな炭焼きコーヒーも、自分好みの味を求めて大阪のメーカーの工場まで足を運び、自分で味を確かめた。モカベースのブレンド比率、焙煎具合は「爽」専用のもの。「飲んだ、という満足感はあると思います」と水津さんは笑顔。
当初はコーヒー一本だったが、お客さんから「何か食べるものを・・・」との要望が次第に多くなってきた。この辺りはオフィス街。短いお昼休み、コーヒーだけを飲みに来るのも大変だろうと水津さんは考え、コーヒーを邪魔せずに何かできることはと考えた末に、自家製カレーに行き着いた。
カレーは精肉店の協力で土佐赤牛のよいところを使い、クミンやカルダモンなどのスパイスから手作り。油はほとんど使わず、たっぷりの野菜から取ったスープと合わせ、何時間も煮返して味を作っていく。
明「道理で、胃にもたれないはずだ!」
鍋「毎日通う人もいるらしいよ。魔法の秘密はそれか」
お客さんの要望で始めたカレーは大人気メニューに。お肉が嫌いな人のためにと、「なすと挽肉のカレー」や「グリーンカレー」といったメニューも増えた。「お客さんの声が頼りなんです」と水津さん。いつでも一番に考えるのは、お客さんがどう思うか。こうした姿勢が、和やかな店の雰囲気を作っているのかもしれない。
「今はコンビニなど安いご飯もあるのに、わざわざうちに来てくださる。それなら、相応のおもてなしをしないといけません」。柔和な笑顔の下に、一本筋が通った「はちきん」の心意気。心を爽やかにするひとときを、このお店からはもらえる。
鍋「なんか、癒されたなあ」
明「おせちというか、年末年始の暴飲暴食も癒やすカレーって珍しいですね」
鍋「じゃあ、カレーも食べたし、癒されてリフレッシュして、新年会でがんがん食べて飲むか」
明「・・・台無しですがな」
【お店データ】
珈琲館「爽」
高知市本町4-1-4
088-875-8777
営業時間 8~17時 日曜日定休
※モーニングもやってます。飲み物+150円で8~11時半まで!満足度高いですよ♪
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