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2008年10月23日アーカイブ
よく見るHipHopのイベントとは風景が違っていた。踊り、ハンズアップするのではなく、じっとライムに聴き入るオーディエンス。体を揺らしながら脳内を真っ白にするのではなく、耳と心を直結させて、言葉を胸に刻む作業をしているように思えた。21日、キャラバンサライでのTHA BLUE HERBのライブは。
BOSSのライムは、そこらに氾濫している「あなたとわたしの愛」の、しかも上っ面をなぞっただけのようなリリックとは違う。自らの古里・北海道札幌市平岸での光景と、オールドスクールHipHopを生み出したニューヨークの貧しきアフリカンアメリカンへの尊敬の念と、自らの信念、行動を描き出す。
「札幌の奴に聞いてもらえばわかる
今も自らポスターフライヤーばらまく
最初に打ったパーティー以来変わらず
服屋 飲み屋 頭下げ遠回る」
(「SUPA STUPID」)
「あらゆる世界 陰に捨てられた
哀しみを向いてラップしなくちゃ駄目だ」
(「HIP HOP 番外地」)
「今やHIP HOPはアイドルじみた奴らだけが
リプレゼントしていると言われても慌てない」
「今やHIP HOPは10代の不良だけが
喜んでいると言われても慌てない」
(「HIP HOP 番外地」)
熱い言葉。鬼の連射。それはフロアに一体感をくれはしなかった。変わりに、彼の言葉を受け取った1人1人の心に青白い炎をともしてくれた、と思う。明日を生きる、勇気、ではなく覚悟を。そう、BOSSの言葉は「オレはこういうやり方で生きてきたけど、お前は明日から何をするんだ?」という問いだった。
一瞬、バックトラックで「孤憤」が流れた。
別冊SONIC10/11付の来高告知でも書いた、あの歌が。
同じ日のこのブログでもふれた、僕の好きなライムが。
僕は、僕自身の覚悟を問うた。
「明日も、音楽を書く。」
これがあなたへのANSWERです。BOSS。
本日の1曲
「Ain't no mountain high enough」/ Inner Life
album「The original Salsoul classics」(1992年)より
BOSSはこの曲のタイトルを何度も繰り返し、叫んだ。「あんたはその坂を越えなくちゃならないってことだ」という言葉とともに「Smile with tears」という曲で。アメリカのショウビズ界で何とかのしあがろうともがき、真剣に音楽に向き合ったアフリカンアメリカンへの、彼なりのリスペクトを僕は感じた。
ニューヨークのアンダーグラウンドのクラブで愛されたこのダンスクラシックスは、きっと、フロアで踊っていた人々に勇気を与えたはずだ。
越えられないほど高い山なんて、ない、と。

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