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山で道に迷ったら
だいぶ昔のこと、工石山に登っていたら、数人のおばさんたちが下ってきて、「赤良木はこっちかねぇ」と聞かれました。
彼女たちは頂上から道を間違えて下ってきたようです。「道を間違えているから頂上まで戻ったほうがよい」と説明すると、「ここはものすごいきついがぜ」と文句を言います。私はそれを無視して登りにかかりました。
後ろのほうで、「これを戻るのはもういやぜ、このまま下ろうや」などと相談しています。「戻って来いよ。たのむ」と密かに願いながら進んでいたら、彼女たちはあきらめたようで引き返してきました。
ある資料によると、山岳遭難事故でトップを占める原因は道に迷ったことだそうです。道迷いによる遭難を少なくする方法は実は簡単なことです。『道に迷ったら元に戻れ』このたったひとつの原則を堅持すればよいからです。ところが意外とこれができないようなんですね。
だいたい、ふもとから頂上に向かって登っている時に迷うことは少ないものです。なにしろ、ともかくも標高の高いところへ登って行けば、いずれ頂上に到達するのですから。もっとも、隣の山に登ってしまったといったといったドジなこともあったりするのですが??
登りの時には、道を間違えたことに気がついて、引き返すのも楽です。麓に向かって下ればよいからです。ところが、頂上まで登った後に下り道で迷うと、本来帰るべき方向とは逆の頂上に向かって登り返さなければならなくなります。たいがいの人は「あの険しいところ、急坂を再び登るのはもう嫌だ」と考えてしまうようです。そこで近道をしようと思って道のないところへ入ってしまいます。そういうとき多くの人は谷を下るようです。
沢登りという登山形態があります。渓谷を遡るものですが、これは岩登りに次いで高度な登はん技術や知識を要求されます。ザイル(ロープ)などの登はん装備も必要です。谷を下るのは登るよりもさらに難しい。そんな技術がある人なら、そもそも道に迷いはしないでしょう。
山で道に迷ったときは、『頂上まで戻る覚悟を決めること』。この"覚悟"こそが道迷い遭難をしないための大鉄則なのです。
登山に出かけるときには、もう1回頂上まで登る「覚悟」で出かけてください。
【写真】こんな技術や装備のある人なら谷を下っても大丈夫です。
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