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半世紀以上の登山歴を持つ竹村義仁さん(高知市)が、山や自然から学び考えたことを一歩、一歩記していきます。

 

2008年3月アーカイブ

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ある時、小学校の同級生と話をしていて、誰か有名人の年俸が何億円になるといった話がでました。「俺たちゃ、この50年間ずっと働いてきちゅうが、1億円は稼いだかなぁ」と言います。

私の最初の月給は3000円でした。そこから出発していますが、現在の貨幣価値に換算しても、1億円とか2億円は生涯かかってやっと稼げる金額です。

「よけにゃよばんが(多くは要らないが)、もうちっくと(もう少し)欲しい」というと、「銭は、こじゃんとしんどい(非常に辛い)思いをして、ちびっと(少しだけ)稼ぐもんじゃ」と言われてしまいました。

「銭は喰うていけるだけありゃぁえい(良い)。よけ欲しいと思うけに、おかしげなことになる(不祥事を起こす)」とも。いやぁかっこうつけるなぁ。

登山も同じようなものです。さんざんしんどい思いをして山に登っても、雨に降られたり吹雪に閉ざされたりして、始めから終わりまでずっと良いことは何もなかった、という山行は多いものです。

冬は吹きすさぶ烈風と寒さで休憩することもできない、夏はうっとうしい虫の襲撃で食事をすることもできない、そんなことはしょっちゅうです。

それでも、まれには澄み切った青空や心にしみる夕焼け、わくわくするような日の出を眺められることはあります。たまに。

登山は自然が相手ですから、こちらの都合の良いように事は運びません。何か苦労をすればそれ相応の報酬があるとは限りません。自然の摂理に従うほかはないのです。

良いことも悪いことも、楽しいことも辛いことも、うれしいこともわずらわしいことも、何もかもぜんぶ含めて、ただ自然のままに受け入れる。良いとこどりをしない、楽に結果を求めない、それが登山なのです。かっこええなぁ。

晴天に恵まれてもそれを「良いお天気」とは言いません。雨に降られても別にがっかりしません。山で雨に降られるのは街で降られるより遙かに辛いものですが、それも登山の一部です。

以前は、週間天気予報で雨になっている週末には喜んで出かけていました。登山者が少ないので、静かな山を楽しめるのです。はじめから覚悟を決めて出かければ雨の風情もまた良いものです。

ただ、最近はちょっと注意しています。最近の山は、大雨が降ると山崩れが起こるのです。雨を味わうどころではない、危険な山になってしまいました。

【写真説明】 雨のテント(富山県・剣岳)。このときはテントが壊れるほどの強風と、テントの下を水がザアザア流れるほどの大雨に、まるまる2日間ずっと翻弄(ほんろう)されました。事故はなかったけど、登頂もできず、ただ風雨に耐えるためだけに越中まで行ってきた。げにだれた(ただ疲れただけ)。

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