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半世紀以上の登山歴を持つ竹村義仁さん(高知市)が、山や自然から学び考えたことを一歩、一歩記していきます。
ザイルの仲間
「ザイルの仲間」とは、「一緒に岩登りをする友達」という意味ですが、「命をかけてもかまわないと思うほどの信頼できる親友」の意味もあります。いまではもう、かんぜんに死語ですかね。
ヒマラヤから帰ってきたとき、ある友達が真っ先に聞いたことが「喧嘩は?」でした。ヒマラヤのような厳しい環境にされされていると、仲のよかったはずの仲間でも、もめ事が絶えず、しまいには登山隊が分裂したり、帰国後二度と口をきかなくなったりすることがあるそうです。
その点、今回の遠征ではそういった危機は一度もありませんでした。
むろんトラブルはいくつもありました。たとえば、私と深田さんが西峰のナイフリッジを登っているときのことです。
ナイフリッジとはナイフの刃のように鋭く切れ落ちた雪の尾根です。私が登っているロープを深田さんが登ろうとします。私はロープに引っ張られて危うく雪稜からふり落とされそうになりました。
「待て待て!! 登るなーっ!!」と怒鳴っているのですが彼には聞こえません。実は少し耳が遠いのです。思わず声を荒げて「補聴器をやっちょけよ」と怒ってしまいました。彼は「すまんすまん。わりいわりい。俺が悪い」と平身低頭しています。
ここで彼が「おんしゃ(お前)がぐずぐすしちゅうからじゃいか」といえば喧嘩になってしまいます。そんな了見の狭いやつではないのです。
深田さんはいま脳溢血と闘っています。了見の狭い私は「あんなことで怒らなければよかったなぁ」といましきりに反省しているところです。すまんすまん。
当初、彼の耳が遠いことが問題になりました。落石や雪崩があってもわからないので危険なのです。すると、山本さんが「誰かが深田にくっついちょりゃ良いじゃか」とさらりと言いました。みんなが彼の耳になれということです。まことに勇気のわく言葉です。
「チームワークとは、人の足らざるを補うこと」です。今回の隊員は、誰もが互いに目になり耳になり、手になり足になって補い合っていました。このあたりはやはり年の功でしょう。といいたいところですが、要するに誰もが半人前になってしまったので、誰かに助けてもらわないことには何ともならないのです。
物忘れもひどいので、「○○はここへ置いたぞ」「おっし」といちいち確認をしていました。確認したって無駄ですね。何しろ誰もが重度の"アルコールハイマー"に罹っているので、確認したまますっかり忘れているのです。「おい、何ゃぁどこにある」「またかや」
誰もがそんなどんくさい(のろまな)状態ですから、腹が立つ前に笑い転げてしまって、喧嘩するところまで行かなかったのです。
げに、ザイルの仲間はまっことえいもんじゃ。
【写真】帰路、コトの宿屋で。山本さん撮影
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ラトナチュリ登頂おめでとう。世界第二登、二名成功、全員帰国、良かった々。長いキャラバンをはじめ、高度障害、凍傷、等アクシデントを、無事に乗り切ったのは、年寄りだから出来たチームワークのたまものでしょう。山本氏撮影の写真を見ながら,皆様が唯々羨ましい。頂上に立てなかった,皆様の「お気持ち」お察し致しますが、私は「俺も」の気持ちで一杯です。「変形性膝関節症」が無かったら、絶対参加していた筈です。そのためサラリーマンから,ペンションの親父に転職したのですから・・同じテントで飯を食った「ザイルパートナー」です。登頂報告会には、万難を排して参加させて貰います。帰国後の深田氏の発病は残念でしたが、現地で発病していたら、とても無事では済ま無かったでしょう。改めて高新大賞受賞おめでとう。