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半世紀以上の登山歴を持つ竹村義仁さん(高知市)が、山や自然から学び考えたことを一歩、一歩記していきます。

 

T-Bit

IMG_0472 このブログをずっと読んでくださっている方は、私をひどい飲んべえだと思っているのではないでしょうか。

そんなことはありません。酒は、少々たしなむ程度です。

晩酌はほぼ毎日やりますが、夏ならビール(正しくは発泡酒等)350ml缶を1本だけ、冬なら日本酒を1合だけです。

友達が「それじゃ足らんだろう」と聞く。「うん、たらん」

「欲求不満がたまる一方だろうが」「いや、ざんしんだよ」

「ザ、ザンシン?」

そう、残心、心をここに残しておくことです。

なんであれ、願望が完全に満たされてしまうと、もうそれでおわりです。その先はありません。あともうちょっとで満たされる、そのちょっとを土佐弁では「ちーびっと」といいます。そのちびっとの状態こそが至福の時です。

だから私は、あえてラトナチュリの頂上まで登りませんでした。そのちーびっと手前の西峰の頂でやめました。だから私の心はいつまでもそこにとどまって、なお攀じ登ろうとしています。

アンナプルナ山群の白銀の峰々を眺め、荒涼たるチベット高原に思いをはせ、成層圏まで見晴るかすかと思う紺碧の空を飛び、そして、ラトナチュリの頂に祈りを捧げています。神仏の住み給うその場所で。

あーぁ、何という豊かなことだろうか。頂上まで登ってしまったやつは本当に気の毒だ。うん。

ということを肴にして、今夜も一杯やろう。「我、こののち五十年生きるを能わず」。ただ、心をここに残しておくために。

さぁさぁ、あんたにも一献。どうぞ。

【写真】ラトナチュリ本峰(右)と西峰

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