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半世紀以上の登山歴を持つ竹村義仁さん(高知市)が、山や自然から学び考えたことを一歩、一歩記していきます。

 

古き岳の友よ(1)

yamadesu 私が若いころの話である。(もちろん今も若い)

あるとき、"かずお"君と岩登りの練習に出かけた。

彼がスイスイと登った岩場を私はどうしても登れない。

当時、クレッテルシューとドイツ語でいっていたが、クライミングシューズ(岩登り専用靴)が出始めたころだった。彼はさっそくそれを買って履いていた。私はキャラバンシューズ(ハイキング用の靴)である。

「お前は履き物が良いからいかん。それをよこせ」とむりやり取り上げて、彼にはキャラバンシューズを履かせた。

それで、結果はどうなったか。

全く同じことである。彼が難なく登れるところを私はどうしても行けない。

あたりまえである。

技術の悪さを道具でカバーできるわけがない。優れた技術があって、その上でよい道具を使えば、より良い仕事ができる。

技術のないものが、いくら良い道具をそろえても技術が高まるわけはない。

胴長短足の私と違って、彼はスマートな体格をしていた。当時有名だった、フランスの名山岳ガイド、ガストン・レビュファに容姿がよく似ていた。

それで私は、彼を「土佐のガストン・レビュファ」と呼んでいた。略したら土佐ガスである。(あ、いかん。高知の人間にしか分からんダジャレをゆうてしもうた)

「お前は、腕が長いから掴めるホールド(手がかり)が広いので有利なんじゃ」と、とうとう体格のせいにしてしまった。

剣山山系の三嶺(みうね、さんれい)に青ザレという場所がある。

山腹の広い範囲にわたって、ザレ(石や砂礫の急斜面)になっている。

あるとき、何気なくそこを見ていたら何か動くものがある。

「ありゃ、あがなところを登りゆう奴がおる」

そこを登る必要性など何もないのだ。双眼鏡でのぞいてみると、なんと"せいじ"君である。

大きなキスリングザックを背負って、足もとがズリズリずり落ちる急斜面をガリガリ登っている。

「げにまっこと、たまーるか、やちがない」

彼はいつでもここ一番のところで底力を発揮する。

私は「パワーのせいじ、センスのかずお」と彼らのクライミング技術を評していた。

その後、2人とも数々の山頂や岩壁を制し、いまも登山界で活躍している。かずお君は国際山岳ガイドでもある。

私も口だけなら2人に決して負けはしない。

【写真】プライバシー保護のため人物写真はない

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このページは、uniqueが2009年5月18日 11:34に書いたブログ記事です。

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