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2009年10月アーカイブ
昔の登山技術書には「行動中にはできるだけ水を飲むな、食事の時にはたっぷり飲め」と書いてありました。それを初めて読んだときには、それまでかまわずガブガブ飲んでいたので、「これは悪い我流が身についてしまった」と思ったものでした。
ところが、極力水を飲まないようにしてみると、体の調子が悪くなることに気がつきました。やたら飲み過ぎても体調を崩します。
それで、目盛りのついたカップを買ってきて、登山中に飲む水の量を記録しながら、1日に何リットル飲むのがよいか実験をしてみました。
しかし、必要とする水の量は日によって大きく変わるのです。気温、湿度、風速などの気象条件、ザックの重さ、坂道の傾斜、歩く速度などの運動量、入山1日目か2日目か等々、状況によってかなり大きく変化します。
結局、そのときの結論は「1日に何リットルと杓子定規に決められない。自分の体と相談しながら、たっぷり飲む」との結論に達しました。
何のことはない、いままで自分が体感的にやっていたことそのままです。
本に書いてあることを鵜呑みにしない、山のことは山に聞けという良い例です。
ただ、何リットルの水を携行するのがよいかの問題は残ります。
山に入る人が少なかった昔は、1リットルの水筒1本だけを持っていて、水場があるごとに飲んだ分を継ぎ足していました。水場が多い日本の山では、1リットル携行していれば事が足りました。
しかし、登山人口が増えた現在では、水が汚染されている場合があります。軽々に飲まない方がよいのかも知れません。水場の上方(標高の高い方)に登山道や山小屋・キャンプ場がなく、地中からわき出している水なら大丈夫でしょう。たぶん。
最近の私の流儀では、春から秋にかけての三季は、水1リットルと飲料水(日本茶、紅茶、スポーツドリンクなど)1リットル(合計2リットル)を持つ。冬は1リットルでよい。ということにしています。
むろん、これは標準の量です。そのときの様々な状況(気象、運動量、水場のあるなし、宿泊か日帰りか等)に応じて加減します。
水筒は広口のものを使っています。残量が分かるし、コッフェル(鍋)などから注ぎやすいのがメリットです。お茶を沸かしたり、雪を溶かして水を作ったとき、水筒に注ぐ必要があるからです。ちなみに、雪を溶かして作った水にはゴミが混ざっています。それでコーヒー用のフィルターで濾しています。
冬はペットボトルやポリタンなど非金属の容器は使えません。凍った時にストーブで暖めて溶かすことが出来ないためです。私はやかん型水筒を使っています。
古いもので、最近は売っていないようです。直接火にかけられるし、湯たんぽやアイロン代わりにも使えます。アイロンとは、衣類が濡れたときにお湯を入れた水筒で乾かすことです。
縦長の水筒をパッキングする(ザックにしまう)ときは縦に入れます。横に入れると、満タンの時はよいが、水が少なくなると水筒の中でチャプチャプ跳ねてうっとうしいかぎりです。また、栓がゆるんだときには全部こぼれてしまいます。しかし、縦置きは意外と収まりにくいものです。
多量の水を運ぶ時、大きな容器を使うよりも、小さな容器に小分けした方が良いでしょう。2リットルを超える大きな容器では、満タンに入っていないと、水が動いてバランスを崩すおそれがあります。けっこう歩きぬくいものです。
山では高山病を予防するためにも水はたっぷり飲むのがよいようです。ヒマラヤでは生水は飲まず、お湯を飲みました。大きなテルモス(魔法瓶)にお湯か紅茶を入れて飲んでいました。
ネパール語でお湯はタトパニと言います。私が最初に覚えたネパール語が「タトパニ ディノス(お湯を下さい)」でした。
本当は、ビア ディノスだろうって? あたり!
【写真】ヤカン型水筒と広口水筒
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今回から話題を変えて、登山のヒント、ノウハウ、私の流儀について書いてみようと思います。
まずは、ステッキ、ストック、トレッキングポール、アルパインストック、スタッフ、金剛杖・・・呼び方はいろいろありますが、要するに杖の話です。
登山において、「杖は使うべきではない」「I型2本ストックを使うべきだ。T型は使ってはならぬ」「石突きのゴムキャップは必ず付けるべきだ」等々、人によってそれぞれ主張があるようです。
T型とかI型とは、握りの部分の形です。また、私の分類ではスキーのようにI型2本1組の杖をストック、T型1本だけで使うものをステッキと呼び分けています。
昔の登山技術書には、杖は使わない方がよいと書いていました。しかし、現在、特に中高年の方には使うことをおすすめします。
私は、握りがTとIを組み合わせた形の1本ステッキを使っています。2本ストックは日本の山には合わないと思っています。
林道のような比較的広くて平らな道を長く歩くときは2本ストックが良いのですが、一般的な登山道では1本ステッキが良いと思います。片手にステッキを持ち、他方の手は岩や木などしっかりしたものに掴まるのが良いと考えるのです。
私はちょっとした岩場や沢、藪の中を行くときでもステッキを使います。ホールド(手がかり)代わりにしたり、石をぴょんと跳び越えたり、藪をかき分けたりするのにけっこう使えます。
ただし、じゃまになるときも結構あって善し悪しです。要は使い方です。基本的には、岩場など(岩や鎖などに)手でしっかりつかまる必要がある場所では、ザックに取り付けておくのがよいでしょう。
石突(いしつき=杖の先端部)に着けるゴムキャップは、岩の多い道や舗装路以外では外しておくことをおすすめします。キャップがあると滑るので危険なのです。
ただ、登山者の多いルートでは道や植生を痛めないために着けておくのが良いでしょう。そう強く主張する人がいますから。
もちろん、バスや電車に乗るときや、ザックに取り付けたときには必ずゴムキャップをしておきます。
石突きの少し上には小さなリング(傘)がついていますが、リングから下の長さは短い方が良いようです。長いと土に刺さり抜けぬくくなります。ただ、雪渓など堅い雪の上を歩くときには長い方が安定します。
杖はあくまで補助です。全体重を預けるような突き方をしていると、石突が滑って転落するおそれがあります。特にT型はそうする傾向があるので注意がいります。
このために、T型を使ってはならぬと主張する人がいます。しかし、滑るのはゴムキャップをしているからではないでしょうか。金属の石突きならけっこう安定しています。
リストバンド(手革、手首に掛けるための帯)は強い力が加わると切れるか伸びるものをおすすめします。
衝撃が加わったときに手首を折るおそれがあるからです。私はちょっと工夫をして伸びるように作っています。また、切れやすいひもを使っています。
【写真】私が使っているステッキ。リストバンドの片側のループ(輪)を引っ張ると、他方が縮んで、伸びるようになっている。ひも自体にも多少の伸縮性がある。
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