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半世紀以上の登山歴を持つ竹村義仁さん(高知市)が、山や自然から学び考えたことを一歩、一歩記していきます。

 

タトパニ

D091013-002s 昔の登山技術書には「行動中にはできるだけ水を飲むな、食事の時にはたっぷり飲め」と書いてありました。それを初めて読んだときには、それまでかまわずガブガブ飲んでいたので、「これは悪い我流が身についてしまった」と思ったものでした。

ところが、極力水を飲まないようにしてみると、体の調子が悪くなることに気がつきました。やたら飲み過ぎても体調を崩します。

それで、目盛りのついたカップを買ってきて、登山中に飲む水の量を記録しながら、1日に何リットル飲むのがよいか実験をしてみました。

しかし、必要とする水の量は日によって大きく変わるのです。気温、湿度、風速などの気象条件、ザックの重さ、坂道の傾斜、歩く速度などの運動量、入山1日目か2日目か等々、状況によってかなり大きく変化します。

結局、そのときの結論は「1日に何リットルと杓子定規に決められない。自分の体と相談しながら、たっぷり飲む」との結論に達しました。

何のことはない、いままで自分が体感的にやっていたことそのままです。

本に書いてあることを鵜呑みにしない、山のことは山に聞けという良い例です。

ただ、何リットルの水を携行するのがよいかの問題は残ります。

山に入る人が少なかった昔は、1リットルの水筒1本だけを持っていて、水場があるごとに飲んだ分を継ぎ足していました。水場が多い日本の山では、1リットル携行していれば事が足りました。

しかし、登山人口が増えた現在では、水が汚染されている場合があります。軽々に飲まない方がよいのかも知れません。水場の上方(標高の高い方)に登山道や山小屋・キャンプ場がなく、地中からわき出している水なら大丈夫でしょう。たぶん。

最近の私の流儀では、春から秋にかけての三季は、水1リットルと飲料水(日本茶、紅茶、スポーツドリンクなど)1リットル(合計2リットル)を持つ。冬は1リットルでよい。ということにしています。

むろん、これは標準の量です。そのときの様々な状況(気象、運動量、水場のあるなし、宿泊か日帰りか等)に応じて加減します。

水筒は広口のものを使っています。残量が分かるし、コッフェル(鍋)などから注ぎやすいのがメリットです。お茶を沸かしたり、雪を溶かして水を作ったとき、水筒に注ぐ必要があるからです。ちなみに、雪を溶かして作った水にはゴミが混ざっています。それでコーヒー用のフィルターで濾しています。

冬はペットボトルやポリタンなど非金属の容器は使えません。凍った時にストーブで暖めて溶かすことが出来ないためです。私はやかん型水筒を使っています。

古いもので、最近は売っていないようです。直接火にかけられるし、湯たんぽやアイロン代わりにも使えます。アイロンとは、衣類が濡れたときにお湯を入れた水筒で乾かすことです。

縦長の水筒をパッキングする(ザックにしまう)ときは縦に入れます。横に入れると、満タンの時はよいが、水が少なくなると水筒の中でチャプチャプ跳ねてうっとうしいかぎりです。また、栓がゆるんだときには全部こぼれてしまいます。しかし、縦置きは意外と収まりにくいものです。

多量の水を運ぶ時、大きな容器を使うよりも、小さな容器に小分けした方が良いでしょう。2リットルを超える大きな容器では、満タンに入っていないと、水が動いてバランスを崩すおそれがあります。けっこう歩きぬくいものです。

山では高山病を予防するためにも水はたっぷり飲むのがよいようです。ヒマラヤでは生水は飲まず、お湯を飲みました。大きなテルモス(魔法瓶)にお湯か紅茶を入れて飲んでいました。

ネパール語でお湯はタトパニと言います。私が最初に覚えたネパール語が「タトパニ ディノス(お湯を下さい)」でした。

本当は、ビア ディノスだろうって? あたり!

【写真】ヤカン型水筒と広口水筒

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このページは、uniqueが2009年10月21日 18:54に書いたブログ記事です。

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